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日記 1センチ食週間
朝。起きて大あくびをしたところですぐに自分の異変に気がついた。あ、あごが痛い!
顎関節症というやつだ。正確にはあごというか耳の下の顎関節が痛くて、がんばっても口が1センチくらいしか開かないのだ。あごをガクガクして遊びすぎたとか、ガムを100個同時に食べてみたとか、そういうこともしてないのになんでだ。とにかくあごが痛い。あーあ。
一旦こうなってしまうと一週間くらいずっと辛いということを私は知っている。こういうあご痛が定期的にくるので「これは病院に行かねば」と毎回思うのだけど、良いのか悪いのか毎回自然にじわじわと治っていくので病院に行こうと思っていた気持ちも痛みとともに消えてしまい、そのまま行けていない状態がずっと続いている。我ながらなんてダメなんだ。前回病院に行かなかった自分に竜巻旋風脚をしたくなる。病院に行け、行くんだ私。次に行かなかったらヨガファイアだからな。
ということで、悲しくも私の「1センチ食週間」が幕を開けてしまったわけである。1センチ食週間とはなにかというと、口が開かないので厚さが1センチ未満のものしか食べられない週間のことを私が勝手にそう呼んでいるのだ。これが痛みとも相まって辛い。きつい。しんどい。やるせない。たまらないのである。
朝ごはん。いつも食パンやテーブルロールなんかを焼いて食べることが多いけど、これは1センチ以上の厚みがあるのでダメ。お米が炊けていたので、お茶漬けを作ってサラサラと口の隙間に流し込む。
昼ごはん。なんとなくこの日の気分が米だった。おにぎりをコンビニで買おうかと思ったけども、これも1センチ以上の厚みがあるのでダメ。しかたなく中華料理店に入り、パラパラのチャーハンを口の隙間にころころと転がして流し込む。
ここまでは順調にいけたが、ここでトラブルが発生する。外回りから会社に戻った夕方、自分のデスクを見ると、海外研修に行っていた先輩からのお土産が机の上に置かれていた。こういう日に限って、でっかいマカダミアチョコレートが2粒。しかも持ち帰れる感じではなく、そのまま裸の状態で紙コップに入れたもので配られたのだった。
Q:裸の状態で「召しあがれ」って言われたのに嬉しくないものってなーんだ
A:顎関節が痛い時のマカダミアチョコレート2粒
どうでもいいなぞなぞができてしまった。なぞなぞでもないか。
ああ、あご痛い。こういう時、ゼリーなんかをくれたら一番嬉しいのになあと思う。そんなヒーローとかいないかな。「僕の顔をお食べ」と言ってくれるゼリーパンマン。顔のゼリーをもぎ取り、私にドロっと差し出してくれる。
ああ、ゼリーパンマン。顔面がプルプルと風に吹かれているよ。直に触った手でゼリーを渡されるのが衛生的に嫌だな。ゼリーパンチとかしてもめちゃくちゃ弱そうだし。バイキンマンに秒で負けそうな未来が見えるよ。
……ダメだ。そもそもゼリーパンってなんだ。今日はあご痛で頭がまわらないのでおとなしくロキソニン飲んでそっとしていよう。1センチ以内で食べれるものを探して私は旅に出ます。どうもありがとうございました。