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日記 文学フリマ福岡

文学フリマ福岡に行ってきた。

文学フリマというのは、野良の文学人が出店料を払ってブースを出し、そこで自身の文学作品を売るフリーマーケットのことである。私もそういうことをいちいち確認するくらいには文学フリマのことをよくわかっていなかったのだけど、Xでイベント情報を知ってどんな人がどんな作品を出しているのか見てみたくて覗いてみることにした。

受付でvisitorのシールをもらって胸に貼る。会場に入ると、広い体育館ほどあるスペースに所狭しと小さいブースが並んでいて、そこは大人の熱気に包まれていた。本屋のような静けさはなく、お祭り会場に近い気がする。基本的には書いている人が手売りしているので、みんな出店者と話しながら本を選んでいるのだ。

その光景を見て、私は人見知りがうずきヴッとなった。やばいこれは苦手なやつかもしれない。ブースで作者から話しかけられたら「へへ……じゃあそれください」となって絶対買ってしまうぞ……どうしよう。と思っていると会場の端に各ブースで販売されている本の見本が置かれているスペースがあった。なるほど。そこでゆっくり買いたい本を決めてから目当てのブースに行けばいいのか!

唯一交流したことがあるnoterの潮井エムコさんのブースに勇気をだして挨拶に行き(どうも三毛田です。へへ……としか言えなかった。こんな私にもとても気さくで優しくて良い人だった)、それから見本コーナーを見て気になったブースをいくつかまわってみた。

全く知らなかった方だけど、本多司さんの「ふわふわのにぎり拳~虚偽エッセイ集 2013-2023~」という本を買ってみた。ここ10年間、全部嘘のエッセイを書き続けたものをまとめた本だという。「なんで嘘でエッセイを書こうと思ったんですか」と聞いてみたら、本多さんは「現実がつまんないんで」とまっすぐな眼差しで答えた。変な人だなと思って好きになった。

他にもいくつか気になった作品を買って、すっかり私も作者たちの情熱にあてられて気分が高揚しながら会場を後にした。みんな面白いことを考えていてすごい。これまで自分で紙の本を作るという発想はあんまりなかったけど、やってみるのも面白いような気がしてきた。

自分で本を作ってこういう場所で売るって、計算したことはないがおそらく利益を出すのが難しいだろうってことは想像がつく。たぶんマクドナルドでポテトを売っていた方が効率よく稼げる。

それでもわざわざそれをやってみた先にははたしてなにがあるんだろう。どこかの出版社の目に止まるなんて簡単にはありえないことと思う。自分のやりたいこととできることは違う。ポテトか本か、どちらを作った方が得られるものが大きいかなんて誰にもわからない。

こうして日々noteを更新しているのも楽しいけども、どこかのタイミングで本を作ることで自分の人生に楔のようなものを打ち込む。もしかするとそれは遠くに飾っていつまでも眺めていられるような、自分にとってのトロフィーのようなものなのかもしれない。

戦利品

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