しみじみドキドキ
いきなり秋がきた。はっきりと秋がきた。具体的にはこの前の連休最終日。私の住む福岡に秋が訪れたのはその日である。朝から出かける妻を駅まで送るために駐車場に出ると、思いがけず風が涼しくてびっくりした。まだまだ寒いと言えるほどではなく秋の赤ちゃんみたいなものだったけど、産まれる瞬間を見た。
季節の変わり目ってこんな急だっけかと思うが、そんなことをいつも思ってるような気もする。35年寄り添っていて全然四季に慣れない。「私たち、いつまでも刺激的なカンケイでいようね?」じゃないんだよ。年々(気温が)ハードになってくるのはやめてくれよ。
そしてあれだけ早く涼しくなってほしいと願っていたのに、いざ涼しくなるとしっかり物悲しい気分になるのはどうしてなんだろう。もしかすると秋の風にはさみしさが少し溶けているのかもしれない。原材料を確認していないのでわからない。
最近なんとなく7歳6歳のこどもたちの成長を感じる瞬間があって、しみじみとしてしまうことがある。これも秋のせいってやつなんだろうか。
たとえば、こどもたちと久しぶりに大きい公園まで行ったときのこと。これまでは私がこどもたちの近くで見守っていたり、できない遊具を助けたりしないと「ちゃんと近くにいて!」と怒っていたのに、あまりそれがなくなってきた。しみじみ。
こちらとしては手がかからなくて楽ではあるのだけど、どこに行ったかわからないのでちょっと怖い。その日公園は小学生以下の子供の大群がこの夏溜め込んだエネルギーを爆発させるかのような有様で、リアル版ウォーリーを探せかよと思った。
それから映画館にプリキュア映画を観に行ったときのこと。長女が「映画館でプリキュア観るの、まわりが小さい子多くてなんか恥ずかしくなってきた」と言っていた。そうか、そろそろプリキュアが恥ずかしいと感じるのか。しみじみ。
私はというと、最近涙もろくなってきた。プリキュア映画の中で、飼っている動物が必死に飼い主の元に走りながら「ずっと一緒にいたいよ!」的なことを言うシーンがあった。そんなの動物側に言わせるなんてズルいじゃないか。ううう、と泣いていると次女から「大人が泣いて恥ずかしくないの?」と言われた。うるちゃーい。
あと、最近こどもたちの寝かしつけがいらなくなった。今の家に引越してからこどもたちは自分の部屋ができたのだけど、まだ大人の寝室で一緒に寝ないとダメだった(全員では窮屈なので寝かしつけをしない方が子供部屋で寝ていた)。それが急に「今日は自分の部屋で寝る」と言い出し、2人ともそのまま勝手に寝てしまった。
えええ、これってこんなに急にくるものなのか。もうちょっとジワジワとできるようになっていくものじゃないのか。待ってくれ。心の準備がまだ……。寝室に妻と2人で寝るなんて何年ぶりだろう。
しみじみ。しみじみ。あれっ…なんかドキドキ。