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続・海鮮鍋ラーメンを救え

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どうやったらKALDIの狭い隙間に落ちてしまった海鮮鍋ラーメンを救えるだろうか。相変わらずそればかりを考えて過ごしている。

「いい大人がなにを言ってるんだ」「はやく目を覚ませ」「もっと他にすべきことがあるだろ」というご指摘については、本当にごもっともと思う。ちなみにこれは全部実際に妻から言われた言葉である。しかし私は今日もこの話をします。いやさせてくださいお願いします。

前回、店員さんに海鮮鍋ラーメンが隙間に落ちていることを伝えてみても「取れないところに落ちちゃってるんですよ」と言われ対応してもらえず惨敗だった。店員さんにこれを言われてしまったらもうなすすべがない。これ以上ただのお客さんである私になにが言えるだろう。

かといって私が自力で取ろうにも商品棚がまあまあ高くて下まで手が届きそうにない。前回記事のコメント欄で長い棒を使って挟むorくっつけては?とアドバイスをもらったが、手段が現実的でもそれを急にお客さんがやりだしたらどうだろう。

剣先にテープをつけた木刀を手に「失礼します!」と来店する私。「お客様!?何事ですか??」となるだろう。落ちた海鮮鍋ラーメンが取れたところで感謝されるというよりは、出禁になる可能性の方が高いような気がする。お店に迷惑をかけたくはないんだ。

つまり、どうしようもない。週末の夜も私はガラス越しの海鮮鍋ラーメンの悲しそうな顔を眺めながらも何もできずに帰宅するしかなかった。すまん、海鮮鍋ラーメン。世間では華金でも君にとっては関係ないんだよな……とまではまあ、思わなかったけど。

しかし週が明けて月曜の朝。週末で完全に労働を忘れ去った体を無理やり動かして会社に向かっていると、KALDIの前の光景が先週と変わっていることに気がついた。

増えている!海鮮鍋ラーメンに加えて、「辛ラーメン焼きそばチーズ」の袋麺まで落ちているではないか!危ないなとは思っていたが、ついに2番目の犠牲者を出してしまった。それにしても海鮮鍋ラーメンも鍋なのかラーメンなのかよくわからない名前だったが、今度はラーメンなのか焼きそばなのかわからないネーミングである。袋麺界でなにが起きているんだ。

悪くなる一方の状況に、自分に何ができるのか今一度考えた。そして思いつきで「祈人いのりんちゅ」というXアカウントを作ってみた。トイレに閉じ込められてしまった人がXで助けを求めるような感じで、落ちてしまった海鮮鍋ラーメンたちの写真をアップし続けることで誰か動いてくれるのではないだろうか。もう私にできることはこのくらいしかない。

祈人アカウントの投稿をnoteで繋がっている人たちなどが拡散してくれた。そうすると自分の中の海鮮鍋ラーメンたちになにもできない罪悪感というのはうっすらと薄まるものの、冷静になってやっぱりこれ違うなとも思った。一般市民に伝えてどうする。やるべきことはXアカウントを作ることではなく、KALDIのもっと動いてくれそうな人に直接言うべきだよなと思った。そりゃそうか。

それで昨日の夜、会社からの帰りにKALDIに寄り、近くでてきぱきと商品を詰めていた店員さんに声をかけてみることにした。前回断られた人よりもベテランの風格がある。この人ならば動いてくれそうな気がした。

「あの……あそこの棚の海鮮鍋ラーメンの後ろの隙間に、何個か落ちてます。だから取った方がいいのかなと思って……ええと、すいません。いつも前を通るのでなんか気になっちゃって」
「え?ああ、すいません。わかりました取っておきますね」

その店員さんはそうサバサバと言うと、商品を詰めていたそのスペースからいなくなり、やがてお店の事務所から小さいさすまたみたいなものを持ってきた。高いところの商品を取るようなやつだ。なんだ道具あるじゃないか。私が木刀を持って行かなくてよかった。一度断られてしまったのはなんだったんだろう。

あまり店員さんを追いかけても変だろうから、私は適当にワインなどを物色しているふりをして店員さんの様子を伺っていた。やがて作業が終わった様子だったのでまた外に出て確認してみた。よかった…長かった救助活動もこれで終わりだ……

なんでだよ!

ということで、私の海鮮鍋ラーメンを救う旅は辛ラーメン焼きそばを救う旅へと変わりまた続きます。

※祈人のXアカウントはこちら。辛ラーメン焼きそばの最新情報がチェックできます。気になる人はどうぞ。

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