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創作小説 「体と夢」 #1

サラニコは、まぶたに当たる光で目が醒めた。 少し体が痛い、背中に硬いものを感じる。 目を開けると、眩しい光と木々がぼんやりとある。 横を向くと、肌にざらっとした感触があった。 驚いて体を起こすと、イカダの上に乗っていた。 周りは、明るい陽の射す池か川、水辺には木々が生い茂り、ツタが絡まり、水面へ着いている。 花の咲く木もあり、大きな白い花や黄色い小花や、淡いピンクのつららの様に垂れる花々が、互いに甘い言葉を囁き、喜び合う様にそこに咲いている。 ここは、知らない場所だけれ

    • 短編小説 「ベター・コール・ソウル」へ愛を込めて #2/2

      #1はこちらから 「……」 「彼はもっと君に感謝しなきゃね、君は家の中で女王のようにいればいいんだ。ただそこにいればいいだけなんだ。」 「その女王からこんなに気にかけてもらうだけでも有難いと分からせないと。」 「そう、君は指示だけして、あとは働き蜂にやらせておけばいいんだよ」 「さあ、女王様、今日はこれから何をする?」 「…ハハ、まずは働き蜂をしつけないとね。そしたら、出かけて、ハニーパイでも召し上がってくださいませ、女王様。」 「働き蜂に電話を代わって」 「ハイ、ヨシ!

      • 短編小説 「ベター・コール・ソウル」へ愛を込めて #1/2

        Netflixのドラマ「ベター・コール・ソウル」好きが高じて、短編小説を書いてみます。ラストシーズンの前半と後半のお休み時期、何かしたくてたまらなくなりました.. ドラマを観ていなくても分かる内容ですので、どうぞお目通しくださいませ。 ========== 氷の入った飲み物をえらぶだろう、そんな晴れの日、 木々の葉も川の水面も風に吹かれ、太陽の光を受けて、この瞬間の輝きを放ち続けている。 土手に敷かれた芝の上に、シロツメクサをよけるように座ると、お尻に土の冷たさが伝わる