妹が看護師として働きながら20年余り前に建てた家に、娘と2匹の猫と一緒に引っ越してきてもうすぐ1ヶ月になる。 一緒に生活することで、経済的、精神的に支え合おうという目論見だ。 ひとまずは、帰りの遅い妹に変わって私が晩ごはんを作る事にした。今夜はチキンステーキ、かぼちゃの煮付け、長ネギと薄揚げの味噌汁、ご飯。 妹はこの家でシングルマザーとして一人息子を育て、母を見送り、ここ数年は一人で暮らしてきた。ローンの支払いは70歳まで。年齢を重ねるごとに、それがなかなかシビアな課題だと
中学校を不登校で通し通信制高校を卒業した私の娘は、今も自分の生きる道を模索している真っ最中だ。見ていて不安にならないと言えば嘘になるが、娘が生きていることそのものが希望なのも本当だ。 この娘の上に3人、つまり私には4人の子がいる。子どもを4人産み育てることが、私が人として自立するために必要だったのだとありがたく思っている。 娘の不登校をきっかけに、とあるサークルで行動分析学を学び始めて足掛け9年になる。娘の言動に「なぜ今、この子はこう言うんだろう」「この子が今求めていること
約十年間飲み続けていた鬱の薬を、去年の春手放せた。お陰で今は漫画を読んで笑ったり、泣いたり、そんな些細な心の動きを取り戻せた。 嬉しい。
母はひとの話しを一旦聴くということを決してしないので、どんな話もたいてい腰を折られて思いもよらぬ方向へ捻れていく。 私が子どもの頃、学校であった面白い話をしていたはずなのに、途中で母は 「え?先生にそんな馴れ馴れしい口をきいてるの?」 と言い始め、私は、礼儀知らずの恥ずかしい子だと責められて結局「ごめんなさい」と謝る羽目になったりした。 母はしばしば私の鼻の先に握りこぶしを持ってきてポッキリ折る仕草をして 「天狗の鼻が伸びてる」 と言った。私が楽しい気分のときに限って、なぜか
「あんたは本当は冷たい人間だ。よく覚えておきなさい。」 「周りが騙されたって、私の目は騙せない。いつかその化けの皮が剥がされるから、覚悟しておきなさい」 母が6歳だった私に投げつけた言葉だ。 なぜ母はそんな事を言わなければならなかったのか、自分に子どもが生まれたら私にも理解できるかもしれないと思っていたが、とうとう分からないままだ。 言い放った当人は、娘たちが成人して仕事に就き、結婚して親になったり離婚したりという時の流れの中で、一人だけ幼児のような承認欲求を爆発させ続けな