近郊寫眞帖 : 久地の円筒分水
こちらの記事の続きです。
梅林公園の目の前を流れる平瀬川を上流に向かい、新平瀬橋を渡るとその近くに「円筒分水」はあります。
二ヶ領用水の水を近在の4つの村に公平な比率で分配するための施設で、昭和16年に完成してからは、水争いが一挙に解決したのだそうです。
あたりには豪々たる水音が轟いてます。
分水から道を隔てたすぐ向こうに二ヶ領用水と平瀬川の合流点があって、用水が滝のように平瀬川に流れこんでいる、その水音でした。
地図を眺めているだけでは、ここにこんな高低差があるなんて思いもしなかったです。
百聞は一見にしかずとはこのことですね。
地図といえば、この平瀬川が円筒分水の先でY字型に二股に分かれているのにも好奇心を惹かれていました。
どんな場所かと期待しつつ現場に向かうと、このY字二股の先は津田山という山で、山腹に穿たれた2本のトンネルを通って山の向こうから平瀬川の水が流れてきているのでした。
なんというかこれは… ショックな光景でした。
トンネルの大きくて薄暗い穴、遠い川面、がっちりとした高い護岸…
大手術の傷跡をそのまま晒しているような姿に、痛々しい気持ちになりました。
用水として使うため、また洪水対策のため、山腹に穴を開けて平瀬川の流路を付け替えたかと思うと、今度は付近の宅地化で山の保水力が失われて川が氾濫するようになったのでさらにもう1本穴を開ける。
人間の自分勝手を見るような思いです。
感傷にひたって偉そうなことを言いましたが、自分だって、思いきり山に穴を穿ちまくっている新幹線を便利に使っています。
それなのにこの光景がっかりするなんて、自分もだいぶ勝手なものです。
消化しきれない思いを抱えたまま、このトンネルの先、久地不動尊に向かいました。
よろしければ、続きもどうぞ。
(近日中にアップします)
(2024.2.18)