ベルギーゲントで行ったレストランが忘れられない。
1年経つか経たないかくらい前のこと。
ちょうど卒業制作のリサーチに取り掛かった頃。自分のリサーチのテーマが「インクルーシビティ」だったので、排除されたグループにフォーカスを当てると日本の移民システムが浮かび上がってきた。
ここ数年、ニュースで取り上げられた悲惨な例もあって日本でも問題意識が高まっていたんだろう。おそらくそこから、『牛久』(トマス・アッシュ監督)が作られることになったのだと思う。
『牛久』は2021年に公開された映画で近くにもオンラインにも見れる所が見つからない中、隣の国ベルギーのゲントでジャパン・スクエアという日本映画祭が行われることがわかった。そこで運よく『牛久』が上映されていたのでした。
これはゲントに行くしかないということでロッテルダムからリサーチトリップに出ました。
ロッテルダムからゲントには電車で移動します。2時間もかからないくらいの距離で片道24ユーロくらい。オランダに住んでいるとドイツへ向かう時よりも電車の接続や運行はスムースで安心な印象があります。(それもヨーロッパならでは、電車の運が良かっただけかもしれない。)
到着してアコモデーションで荷物をおろし、ホストから自転車を借りました。オランダっ子なので街は自転車移動が楽です。でもベルギーの道は本当に石畳がゴツゴツで夜は普通にこけました。でも、オランダっ子なので気にしません。(こけた時はお酒を飲んでいました。オランダの間違った印象が届きませんように。)
そうそう、どこでお酒を飲んでこんなに楽しく夜自転車を漕いでいたかというと、本題の忘れられないレストランでした。
Bar Bask
ドキュメンタリーを見たStudio Skoopから自転車を10分ほどセンターから反対の方に漕いで川を渡ったすぐのところにあるちょっと綺麗なレストラン。郊外寄りにしてはお店の中は賑わっておられました。
映画で心をえぐられ深い悲しみを背負い泣きし折れていた私には、この夜風を颯爽と漕いで迎える次のシーンはここであるべきだった。
30代の綺麗でカジュアルな格好をしたグループが多い印象だった。そこにアジア女子ひとりで窓際のカウンター席に座る。
今日の私はやるんだ。青髪のアジア女はつぶやく。
オランダではこんな美食も贅沢も一切しない。今日だけは思いっきり自分の舌を悦ばそうと思う。
そんな決意なしにも、このアパタイザーのスープ、1年経った今でも衝撃で視界がくらむ。まだ私はそこから帰って来れていないのだろう。
エビのお出汁ベースでペッパーやチリが入ったスパイスもすごく良く効いてて、こんな深い味わいがこの世に存在するなんて、ライクアヴァージンでした。
その後、白身魚のグリルと蟹のグリルも頼みました。とどまることはしません。
メインのお料理は書かずにGoogleで読んでください、私はもう寝ますと書こうかと思ったのですが、メインのこの白身魚を思い出したらそうは行きませんでした。
こんなちゅるちゅるな身を食べたことはこれまでありませんでした。
しっかりしたスペインのお店なのでスペインでとられたお魚だと思います。日本のお魚は美味しいけど、海や気候が違うとまた違う味の世界があるんでしょうか。
ちゅるちゅるでした。まっっっ白で、キラキラで、真珠色でした。
シンプルなお塩とガーリックの味付けもお魚の良さを抜群に引き出されていました。 もうどうしよう。
奥真ん中にあるティンの中身はすっかり忘れましたが、このキャラメルポップコーン、ぽいしかったなあ(おいしかったなあ)。
自分中の自分とハイタッチでフィナーレを迎えました。
ゲント、自転車漕いで、泣いて、また漕いで、食べて、悶えるほど感動して、素敵なトリップ1日目となりました。