生きたいと思うこと
「死にたいな。死にたいな。」
青春真っ盛りの私の心に、気がついたら死にたがりが巣食うようになっていた。
友達とうまくいかない。
死にたい。
部活の先輩とうまくいかない。
死にたい。
というか、私には友達がいない。
死にたい。
うまく人間関係を構築できない私は、生き難さを感じ、死にたいとばかり感じていた。
といいながら死ぬ術を具体的にイメージするわけでもなく、いつまでに死ぬと決めるわけでもなく、漠然とした死にたい衝動に駆られていた。
漠然とした死にたい衝動は30歳を過ぎても、心に巣食ったままでいた。
しかし、ある日、死が具体的なものとして私のところにやってきて、私は私の時間が有限であることを思い知らされた。
そして、死んだらできないこと達が、私の頭の中にどばっと溢れた。
その際、私は手にチーズ入りオムレツを盛り付けた皿を持っていた。
無性に食べたくなて、咄嗟に作ったチーズオムレツ。
もし、私が今死んだら、チーズオムレツを一生食べることができない。
そう思った途端、口の中にチーズオムレツの味が広がり(食べてはいないのに!)、死にたくないなと、ふと思った。
私は、まだ、生きて楽しみたいことがある。
生きてないと楽しめないことがある。
そして、生きれば生きるほど、俗世に染まった私にはやりたいことが増えていく。
いつかくる死が自分ごとになった日、死にたがり症候群だった私は、生きたくて仕方ない思いに溢れた私になった。