稲垣えみ子著「老後とピアノ」/ピアノレッスンで見えて来たもの♪
稲垣えみ子さんは、朝日新聞社で論説委員、編集委員を務め、2016年50歳の時に早期退社。
その後ひょんな事から、40年前に挫折したピアノを習う事になったそうです。
その、ピアノに向き合う日々の中から人生における宝石を見つけた…
そんな音楽奮闘エッセイです。
とってもユーモア溢れる文章で、
クスッと笑ってしまう箇所多し。
私も長年ヴァイオリンの個人レッスンを受けた身ゆえ、
とても興味深く
ウンウン、そうそう‼︎と、
最初から最後まで共感と共に読み進めました。
ある時は張り切りすぎて指を痛めてしまったり、
「こうやればいいのだ♬力を抜くのだ」
と気付いたかと思えば「そもそも脱力とは何なのか?」と調べまくり
試してはスランプに陥り、どうせもう無理、と落ち込む。
かと思えば翌日には何故かヤル気満々になり
また次の日にはがっくり肩をうなだれる、みたいな。
1歩進んで2歩下がる日々。(?)
先生も大変です。
同じ事を何度も言わなくてはいけないんですから。
今時の生徒は、
「前に言いましたよね?同じ事を何度言わせるのですか?」
…なぁんて先生から言われた日には、
カッチーン‼︎辞めさせて頂きます‼︎
となりかねないですから、
現代の先生は下手に怒れない。
いつも微笑んで同じ言葉を繰り返す。忍耐です。
しかし、私もそうだったんですが、
ある日、ほんの少しずつ前進している事を実感出来る。これがたまらなく嬉しいのですね。
こんな年齢になって進歩を実感できる。それが音楽のレッスン。
わかるわかる、の連続でした。
そしてお約束、発表会。
臨む緊張感と、
やり切った満足感。
これもわかる!
終始、ユーモアたっぷりなおどけた文章に楽しませてもらいましたが、
最後、
バレンボイムという老齢の(78歳)大御所ピアニストのリサイタルに行き、ベートーヴェン最後のピアノソナタ30番を聴いた著者は、
バレンボイムの演奏とお人柄に触れ、
深い感動に包まれます。
そして辿り着いた。
演奏は腕前ではない。
下手で良い。
人生もまた然り。
成功も失敗もない。
上も下もない。
どんなに凡庸な人間でも、自分の心の中のどこかに隠れていた美しいものに触れられる。
楽器は、友達。
私はもうこれがあれば大丈夫。
著者が到達した世界に
私もとても共感します。
この本を読んで、
思いがけず
私の人生の最終目標が見えてきました。
意識を失っても、ベッドの上で
ヴァイオリン やウクレレを弾いていたい。
…いいでしょ‼️笑
これが現実となったら、
見ている人は相当怖いでしょうし、
聞くに耐えない騒音で
気が狂いそうになるでしょうね〜笑
それでは、今日はこの辺で。
最後までお読み頂き
ありがとうございました❤︎
<追記>
著者がご覧になっていたであろう動画がありました。