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「アルケミスト」と"The Alchemist″

パウロ・コーエリョの代表作「アルケミスト」。世界的な大ヒット作だし、日本でも根強い人気のある作品。読んだことのある方も多いのではないかと思います。

バンクーバーの公立図書館でもいつも予約待ち状態。今でも多くの人に親しまれていることが垣間見れます。スーパーロングセラーよね。

「読みたいなぁ」と思っていたら、バンクーバー在住日本人のブッククラブ、さま文庫にて日本語の文庫版を発見👀‼日本人が多く住んでいるバンクーバーならではの有難いサービス。さっそく借りて読み始めました。同時に英語版も図書館で予約👍Let's読み比べ💕

子供でも読めるような(小5くらいからなら読めるんじゃないかしら?)とてもシンプルな表現で綴られている小説です。つまり、あくまでも物語。

だがしかし‼ しかしですよ‼

「何これこの人宇宙とチャネリングでもするシャーマン⁉」とすら思えるほど、壮大な世界観が描かれている、もんの凄ぉぉい奥の深い物語です。衝撃だったわね。

語弊があるかもしれませんが、そんじょそこらの刷っては消えていくありきたりなスピリチュアル系の本なんかよりもずーーーーーーと物事の真髄を説いているんじゃないかとすら思います。(勿論、これはあくまでも私の個人的な見解だけれど。)

人間の在り方。心の在り方。宇宙の法則。自然との対話と調和。

旅することで様々な人と出逢い、刺激を受け、恋に墜ち、愛を学び、人生の学びを吸収していく。この、とってもシンプルな過程を通して描かれる主人公の少年の成長物語。でもそれ以上の何かが訴えかけてくる、それはそれは驚きの体験の連続でした。

本の内容から感じるものは人それぞれだし、誰が何を言おうと自分で読んでみるのが一番。ただ、読み比べてみて一番印象に残ったことを少しシェア。

著者のパウロはブラジル人。よって原作はポルトガル語で書かれている。それを英訳したものを、さらに山川紘矢、亜希子夫妻によって、和訳されたものが日本語版。つまり、日本語版はポルトガル語→英語→日本語という経路をたどっており、原作から直接訳されたものではない。

英語版も、伝えている物語のあらずじは同じ。だって原作は一緒だしね。ただ原作から直接訳されているからか、日本語版よりも表現がシンプル、だけどリズミカルで力強い感じがした。これは言語特有のものかもしれないわね。

日本語はおくゆかしさや情緒、言葉にならない情景を表すのが得意分野かと思う。そして基本的には読み手に寄り添うのが上手だとも思う。これには勿論、山川夫妻の訳し方やセンスも影響していると思う。

英語版はもっとストレートで、時にとっても詩的。読み手に寄り添うよりは、迫ってくる感じ。

どちらの訳も素晴らしいし、どちらも書物として秀逸。一つの作品を二つの言語で読むことが出来たのはとても光栄であり貴重な体験でした。

ただ、この「アルケミスト」に関しては、私が原作をそのまま読む日は来ない。だって、今からポルトガル語を勉強する気がないから。よって私がパウロ・コーエリョがどのように自分の言葉で「アルケミスト」を書き表したのかを知る日は、今世ではこないということ。

英語版と日本語版でもこれだけ違いがあるのだから、原作をそのままポルトガル語で読んだらまた違う感想や感覚があるんだろうなと思うと、なんかちょと切ないようなもどかしいような、胸がキュ―――ンとなるような感覚もありました。

でもね。とにかく素晴らしい物語であることに変わりはないの。読んでよかったと思う本のベスト5には確実にランクインするわね!(他にランクインするのは「塩狩峠」とか「喜びから生きる」とか色々)

地域の図書館にはほぼ必ずあると予測される本です。まだまだ外は寒いし、自宅での時間が多いのは日本もバンクーバーも同じかと思います。

おこたに入ってみかんでも食べながら、「アルケミスト」のめくるめく世界に浸ってみるのもいいかもしれませんよ♪

人生に迷いを感じた時。自分を見失いそうになった時。もしくは何かインスピレーションが欲しい時。私はまたこの本に戻ってくると思う。

私が私の人生の"前兆”をしっかりとキャッチしていけるように。心の声に耳を傾け、夢見ることを忘れぬように。



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