おかっぱ頭のあなたへ
小さい頃
お母ちゃんに髪の毛
切ってもろてたね
ほんで何日も
長い毛出てきては
ため息つかれながら
切られとったね
お母ちゃんは
散髪のプロちゃうから
1回で上手いこと
切れるはずないねん
だから自分のこと
責めたらあかんで
将来
高校に行ったら
その髪
綺麗なぁって
褒められるで
だからもっと
自分に自信持ちな
🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀
幼児期の私は、母に連れて行かれた床屋で怖さのあまり動いてしまい、床屋のおじさんに怪我をさせてしまったことがある。
私自身は記憶に全く無いのですが、母からは耳にタコができるくらい聞かされている話しです。
この事件以来、母は私を床屋へ連れて行くのを躊躇って、私の髪は母が家で切るようになりました。
当時私はおかっぱ頭。
その上量も人より多く、切ってから何日か経つとすぐにどこからか長い毛が飛び出していました。
だから素人の母は、私の散髪にかなり苦心していました。
長い毛を見つけたら、母はため息をつくと私に新聞紙を持たせ、その長い髪を切る。
このやりとりが散髪後何日も続くのが常でした。
ため息混じりに母から髪を切られるたびに、当時の私は自分が悪いからだとねじ曲がった記憶をインプットしていました。
今ならわかります。
量が多くて真っ直ぐの髪。
それをおかっぱ頭に切るのは、プロでもなかなか難易度の高い髪型だったでしょう。
綺麗に切り揃えるのには何日もかかって当たり前。
単にそれだけの話しです。
そしてその後私は高校生になると、髪を肩の下まで伸ばします。
ロングヘアの私の髪は、風が吹くとサラサラと音を立てて靡くくらい当時はツヤツヤで綺麗でした。
仲良しの友達はもちろんですが、他のクラスの知らない人までもが「髪綺麗やなぁ」と褒めてくれるようになりました。
私の素敵なところ。
こんな私にも魅力的なところがあったんだ。
でも、当時の私は全く気づきませんでした。
むしろ自分のことが嫌いでした。
小さな頃の私へ…
お母さんに髪を何度も切られてたけど、あなたは悪くないよ。
そして高校生の私へ…
あなたにも魅力的なところがあるから自信持ってね。
と今の私が声をかけてあげることにしました。
今は年齢のせいもあり、かつての自慢の毛は年々うねって来ています。
でも、極まれにですが
「ストレートパーマをかけてるのかと思った〜」
と年の割には真っ直ぐな私の髪を褒めてくれる人がいます。
そんな時は
「ありがとう〜嬉しいわ〜」
と素直に言えるようになりました。
時が経てば見えてくる景色も、親や自分に対する思いも移ろうものなのですね。
私の中にはこうしたねじ曲がった記憶が他にもまだありそうです。
これからは見つけたらその都度
今の私が優しく受け止めて記憶を上書きしてあげれば良いんだ。
秋になり木々の色が変わるのを見ながら、そんなことを思った午後でした。
読んでくれてありがとう。
出会えたご縁に感謝します。