「伝えることを諦めない!」 言葉足らずだった製造部長がやめたこと
製造業で現場責任者を務めるMさんに、こんなフィードバックを伝えたことがあります。
Mさんはとても謙虚で真面目な方。毎回、私からのフィードバックを真摯に受け止め、セッションで決めたことを忠実に実行していらっしゃいました。
そんなMさんは ”自称” 口下手。
話しはじめに必ずこんな枕詞をつけていらっしゃいました。
繰り返しますが、Mさんは ”自称” 口下手。
ものすごくおしゃべりが得意!というタイプではありません。でも、伝えるべきことはしっかりと自分の言葉で伝えてくださいます。
だから、この枕詞も「謙遜されているんだな」と、最初は思っていました。
しかし、その言葉が癖のように繰り返されていくのを聞くうちに大きな違和感を感じたのです。
「Mさんは本当に伝えきろうとしているんだろうか・・・」
伝えたい想いがたくさんあることは私には伝わっているのに、この一言のせいで、それを相手が素直に受け取れなくなってしまうような状況をMさん自身が作ってしまっているのではないだろうか。
私は、その時感じたモヤモヤをMさんに伝えました。
私からの思いもよらない言葉に、Mさんはしばらくうつむいていました。
考え込むように固く閉ざした口を開き、力なく過去の経験をお話ししてくださいました。
Mさんは「部下に自分の想いを伝えたい」そして「部下の想いも伝えてほしい」と心から思っていらっしゃいました。
その真っ直ぐな想いを邪魔していたのは「自分は話すのが得意ではない」という決めつけと、予防線を張るための余計な言葉。
”言葉足らず” という言葉がむしろ ”余計” だったのです。
Mさんが自分と交わした約束
そのセッションでMさんが自分自身と交わした約束は「言葉足らず」と言うことをやめること。
その代わりに「わかりにくいところがあったら教えてくださいね」と相手に伝えることにしたのです。
その後のセッションでMさんが「言葉足らずで・・・」と話し始めることはありませんでした。喉元までその言葉が出てくるのを飲み込んでいたのか、話しはじめに、モゴモゴしていたのが1度や2度ではなかったことを私は見守っていました。
ここまで努力するほどのMさんの想いが部下に伝わることを願いながら。
「Mさん、ちょっといいですか?」
それから数ヶ月、Mさんが信じられないような報告をしてくださったのです。部下がわざわざ自分のところに来て、相談の時間を取ってほしいと行ってくれるようになった!と。
「言葉足らず」という言い訳をやめ、どうやったら「言葉が足りる」のかに真剣に向き合い続けたMさんの想いが伝わっていることを感じた瞬間でした。
Mさんも言い訳をしているという意識があったわけではありません。このように、良かれと思って伝えていた言葉が、想いもよらない形で相手に伝わってしまうことは少なくないのです。
社員のことを思って伝えていたつもりなのに、「自社にずっといてほしい人材ではない」ように受け取られてしまい、社員が傷ついてしまった・・・。
背中を押したつもりが「困った時に部長は助けてくれない」と、たったひとりで闘っているような気持ちにさせてしまい、部下の気持ちが離れてしまった・・・。
こんな風に、想いと想いが行き違いになってしまっていることが本当に多い!
あなたが繰り返し伝えている言葉、そして知らず知らずのうちに繰り返している言葉は大きな影響力を持っています。だからこそ、あなたがどんな言葉を選んで使っているかを考える必要があるのです。
どんな想いを込めて、どんな言葉を使っていますか?
あなたがどんな言葉を選んだとしても”伝わったことがすべて”。
「こう伝わっているだろう」は "推測" にしか過ぎません。
なら、方法はひとつ!
「今の話を聞いてどう感じた?」
「わかりにくいところがあったら教えて」
あなたの言葉が相手にどう伝わっているか、聞いてみることにこそ答えがあるのです。
\ 最後まで読んでいただき、ありがとうございます!/
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