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あざのあと

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それが間違っていようとも……彼女はどんどん『痛み』という愛にのめり込んでいく。
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2016年1月の記事一覧

あざのあと

あざのあと

ああ。そこ。そこがいい。
気持ちいい。

もっと奥。そう。そこ。

そこをもっと強く、激しく。
もっと。もっと。
壊してしまうぐらい。

強く。強く。強く。

殴って。

金守 景子。

それが私の名前。
中学生時代、みんなからはけいちゃんと呼ばれていた。
小、中と友達は多い方だった。

誰にも特定の1人とされないように、親友と思われないようにしてきた。

距離が近

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あざのあと

あざのあと

何も流れてないイヤホン越しに、テレビで流れているニュースが聞こえてくる。

テレビに背を向け、ベランダの方をぼーっと眺めた。

おばさんから与えられた私の部屋。
狭いベランダには、おばさんの趣味だっただろう花が美しさを失って横たわっている。

ベット1つ、小さな折りたたみテーブル1つ、テレビ1つ。
隅の方に、本棚にも入れられない可哀想な教科書やノートの山。

なんとも無機質の部屋であるが、そんな空

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あざのあと

あざのあと

したい。したい。したい。

痛い。痛い。痛い。

気持ちいい。気持ちいい。気持ちいい。

痛い。痛い。痛い。

おかしい。おかしい。おかしい?

しばらくして、夏のうだるような暑さから開放され、木枯らしがふく季節になった。

少し薄着だと肌寒い。けど、それが妙に心地よくて、このまま風邪でもひいてしまおうかとそんなことを考えてたところに、笑顔がよく似合う1人の少女が。

『そんな格好で寒くないの?』

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