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⑪「調べる前に訊いてくる」問題

研修講師の石原まゆこです。職場のジェネレーションギャップの生情報を紹介しております。基本スタンスは、上司の味方です。がんばれ!上司。

ということで、上司、OJTトレーナー、先輩方のジェネレーションギャップ系つぶやき。

「最近の若手って、自分で調べる前にすぐ訊いてくるんですよね。」

ジェネレーションギャップ関連で、こちらよく話題出でます。上司は怒っているというわけではなさそうですが、ちょっとイラッとはしています。「まずは自分で調べて」「考えてから訊いて」「失敗してもいいからやってごらん」という指導をしそこねて、親切に答えを教えてしまい、あとで「育成上よくなかったかな」という感じることもあるようです。

若手の意見を聞いてみると、「すでに答えを知っている人に訊くのが合理的」「同じ失敗をしなくてすむように、経験がある人に事前に方法を訊いた方が無駄がない」というスタンス。

道路工事や施工関連の企業では「まずは現場周辺を視察してこい、と指示をすると、新人はGoogleストリートビューで視察するんですよ」。建物などの静的情報はGoogleストリートビューでもある程度把握できますが(それも最新情報とは限りませんが)、人物の動線や環境など動的なものは、その日その時間にその場に行って初めて観察できるものです。実際に現場を見に行かなければ分らないことを見てこい、と指示すると「何を見てくれば良いですか?」

いいからまずは言われたとおりに現場にいってこい、ではイマドキの若手社員への仕事の指示になりません。そう言われたら、【#現場を見に行かなければ分らないこと】でググります。自分で考える前にググる。この行動パターンが、今回のタイトル「調べる前に訊いてくるんですよね」です。上司もGoogleというわけですね。

実際は、いくらググっても、ちょ~どぴったり自分の境遇と同じケースが見つかるとは限りません。いくら検索しても、やはり何を見てくれば良いのか確信が持てません。確信がもてない→自信が持てない→動かない、のいつものルートを辿ると、「わざわざ現場まで行って何を見てきたんだ?」という結末に。

まず初回は、具体的な項目を口頭で伝えてメモを取らせる。それも指導の一つの方法ですが、若手からすると、業務上必要な項目ならテキストでまとまっているマニュアルとかないんですか?という反応です。現場を見に行かなければ分らないことは、現場を見に行ってこそ初めて分ることなので、上司も具体的な項目を完全に網羅できるとは限りません。

わざわざ現場に足を運ぶ『目的』について、上司から説明してください。目的に向かって現場で何を見てくれば良いか、具体的な項目は若手社員自身に考えてもらいます。上司は、仕事のそもそもの『目的』について、言語化でき、若手社員に伝わるように説明できることが肝要です。それがジェネレーションギャップを越えてマネジメントする際に求められる上司力です。

上司の指示がわかりにくい(←若手社員視点です)と、訊きやすい先輩に教えてもらう、となります。今度は、先輩の言語化力と指導力が向上します。自分が当たり前にやっている仕事を、改めて振り返る機会なので、若手社員育成の機会を活用して、上司も先輩も初心に返りましょう。

★対策と指導案★
✓「上司はGoogleじゃない!💢それくらい自分で調べろや」と腹を立てることはありまん。単なるデジタルネイティブの習慣です。
✓自分で考える、というスタンスは若手社員の間に身につけて欲しいです
✓先輩社員をOJTトレーナーに任命して、定期的な指導面談を業務スケジュールに仕事として組み込みます。都度相談に載ってくれる相談しやすい先輩、ではなく、公にOJTトレーナーに任命します。任命された先輩社員の成長は目覚ましく(自分の業務以外に仕事が増えるので初めはブツブツいっていますが)、人を育てるマネジメント職に適性があるかどうかのアセスメントにもなります。

⚫上司へのお便り⚫
今回の解説はちょっと研修ぽい理想論ですかね。慌ただしい日々のスケジュールの中で「この仕事のそもそもの目的はね」なんて問答している暇あるかい、という上司の声もよく出ます。いいからまずは黙って言われた通り動いてみて。いちいち仕事の目的とか質問して来ないで。上司から見たって「コレ本当に必要なのかな?」と密かに思っている資料とか会議とかいっぱいあるんだからさ。空気読んで察して。これは、ジェネレーションギャップの話ではなく、上司の愚痴です。上司は、愚痴は現場で言わず、研修で吐き出すべし。




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