コーヒーチャットとリフレクション
ホーチミンで定期的に開催している、コーヒーチャット。
コーヒーを飲みながらその日のトークテーマに合わせてざっくばらんに会話を楽しむ会を運営しています。
私にとってコーヒーチャットはいつも新鮮な気づきをもらえる学びの場です。(毎回まじめな話をしているわけではないので、お気軽にご参加ください!)そんな気づきはコーヒーチャットが終わった後に1人でぼーっとリフレクション(内省)する時間に生まれたりします。
今日はコーヒーチャットからヒントをもらい、気づきや学びにおいてリフレクションがとても大切なんだ、という哲学や概念の歴史をサクッと紐解きたいと思います。理論の始まりは20年世紀初頭にまでさかのぼります。
ジョーン・デューイ:経験と学習の理論
プラグマティズムで代表的なアメリカの哲学者のジョーン・デューイが学習者の経験を中心に据えた教育論を提唱しました。当時の教育は「暗記型」・「教師主導」が主流で、それに異を唱えたデューイは「学習は知識を受動的に習得するものではなく、能動的に働きかけて経験し、経験に対するリフレクション(反省的思考)で新たな知識を獲得できる」と主張しました。このデューイの思想は現代の教育に大きな影響を与えることになります。
ディヴィット・コルブ:経験学習理論
その後、アメリカの心理学者のディヴィッド・コルブがデューイの理論に影響を受けながら、「経験学習理論」として、学習を経験を通じた循環的なプロセスとして体系化しました。
彼は学習を4つのプロセスとして定義しました:
・具体的経験(Concrete Experience)
・内省的観察(Reflective Observation)
・抽象的概念化(Abstract Conceptualization)
・能動的実験(Active Experimentation)
コルブはこの4つのプロセスを繰り返すことで、能力を向上させることができると主張し、デューイの思想を普及します。
ドナルド・ショーン:省察的実践
また、コルブの経験学習理論と同時期に、アメリカの教育学者のドナルド・ショーンが「省察的実践」として、専門職や実践者が単に経験を積むだけでなく、その経験を内省し、新たな理解を形成することを通じて、専門性を向上させることの重要性を主張しました。(ちなみに、ショーンの博士論文はデューイの内省についてだったのでバリバリにデューイの影響を受けている)
以上の哲学や概念は、今の人材開発、社会人教育のベースとなっています。
「経験するだけではダメで、経験をリフレクションすることから学びや気づきが得られるんだ!」ということですね。言われてみたら「当たり前やん!」って思いますが (なんで関西弁?)、意外と経験しっぱなしでリフレクションってできてない気がします。
つまり何が言いたかったかというと…
海外生活は何かと忙しなく、特に東南アジアは年中暑くて季節感も感じられないからか、気づいたらあっという間に時が過ぎていると感じることもあります。(もう2024年も終わりますしね…)
コーヒーチャットが忙しない日常や「妻」や「母」といった役割から離れて、帯同生活やこれまで(経験)を一歩立ち止まってふりかえり(リフレクション)、ちょっとした気づきが生まれる(学習)場になったらいいなあと思ってますし、参加者がよきふりかえりが出来るように我々運営のファシリテーショも試されているな、と感じています。(この話はまた今度!)
ここまで読んでくださり、ありがとうございました♡
<参考文献>
1)組織開発の探究 理論に学び、実践に活かす
第3章の「組織開発を支える哲学的な基盤」の中で触れられています
2)日本労働研究所雑誌 2013年10月号
中原淳先生の論文 経験学習の理論的系譜と研究動向