Vol.3 オカマバーのお地蔵さん
男子高出身の繭果です。
前回、うつ病発症からの、「オカマバー」で働くことにした事について書きましたので、その続きです。
「オカマバー」で働くことを決意した理由は、大きく分けて2つあります。
1つ目は、性別の悩みについて「多くのことを知りたかった」こと。
やはりその専門家業界には、一般には出回らない情報があると思っています。
そういった情報収集の意味も兼ねて、まずは飛び込んでみる。といったところです。
2つ目は、「人見知りが激しくなっていた自分を変えたかった」こと。
システムエンジニア時代に、人ではなくコンピューターと話しすぎていたため、人とのコミュニケーション方法を忘れてしまっていました。
これを取り戻すには、「嫌でも」対人と会話しなければならない接客業、しかもお店は「オカマバー」、お客様は従業員がおネェであることを承知している。ここに魅力がありました。
とはいえ、以下の3連コンボを抱えていたこともあり、
・メンタルが壊れていたこと。
・自分というものから迷子だったこと。
・人との接触がペーパードライバーであったこと。
最初の2年くらいは、まるで置物のように、お客さんと会話をすることもままならない「まるでお地蔵さん」状態でした。
メンヘラのお地蔵さん。
今考えるとかなりインパクトあるなぁ。と思います。
何年かの月日が流れ、
それなりに顔なじみのお客さんが出来てくると、それなりに話せるようになってきました。
そんな中、1人の派手ギャル系の先輩(職業女装 年齢は同程度)と仲良くなり、仕事っぷりは「アレ」だけれど、
自分のお客さんを持っており、またもてなし方が上手い姿に憧れるようになりまた。
私も負けたくない…そんな気持ちが湧いてきました。
それまでの私は、夜の店で働くキャストとしては地味だったけれど、
メイクや服装を変えるようになり、自分をアピールするようになっていった。
一概にオカマバーで女装しているとは言っても、細かいジャンル・理由としては様々で、
職業女装、女装、MtF、ニューハーフなどと細分化されたキャストたちが一緒に働いているお店だったので、お客様からも「まゆかさんはどういう人なの?」と聞かれることは多々ありました。
最初の頃は、性転換手術までやりたい人。と説明していくと、「応援するよ」と言ってくれるお客さんには、「じゃあ200万援助して!」と言えるくらいには馴染めていました。
もちろん、返事は決まって「200万は無理」って返ってくることはわかっていましたが、
それをお決まりの会話の流れとして使っていました。
もちろん、女装している人が好きなお客様からは、「手術してしまうのはもったいない」と言う人もいましたが、
私は「その人のために生きているわけではない」という感情しかなかった。
応援するけどお金は出せない。って、じゃあ何を応援してくれるのだろう。と今でも思う。
もう一つよく聞かれる質問として
「いつから自分は女だ」って気づいた?がある。
あたし自身は、明確ではないのですが
「生まれたときから女だった」というよりも、「成長したら女になる」と思っていた。
だから、第二次性徴期に入り、声変わりなどが始まった時に「あぁ。女にはなれないんだ」と絶望しました。
今でも不思議なのは、女という自覚があった。ということよりも、成長したら女になる。と思っていたこと。なんでだろう。
それでも個性の強いおネェ様たちの中で、週末だけとはいえ長年続けているとファン?推し?なお客様は増えてもらえまた。
現在在籍していたお店は、コロナ禍が始まる前に退店したのですが、そのお店を退店するときの、最後の出勤の時には、私を慕って来店してくれるお客様でお店は満卓にすることができました。とても嬉しかった。
続く…。