マガジンのカバー画像

詩と散文の隙間

7
詩よりも長く、散文より短い、すきまの言葉。
運営しているクリエイター

2018年8月の記事一覧

愛の輪郭

愛の輪郭

私の愛
それは誰も気がつかないところで
私が勝手に遵守する愛

たとえば誰かを見送ったあとの
ドアを閉める音
バタンと閉じてしまうのは
追い出されたようで
心細く
きっと寂しい思いがするだろうから
私は細心の注意を払い
音を立てないように
そおっと閉める

たとえばそんな愛のルールを
人知れず守り続ける
どんな時も
私の、愛の自尊心のため

あるいは私が感じる愛

私が泣いたのは
映画の悲しい

もっとみる
上等

上等

彼女はもう
忘れてしまったかもしれないけれど
地下道の階段を上がったところで
こんな話をした。

「4万円のコートを着て、
400円の下着をつけた女より、
4万円の下着をつけて、
400円のコートを着られる女になろうよ。」

あれから10年以上経つ。

今でも私は
何か目の前にあるものの
表層の
その下にあるものを
見ようとする。
翻り、
いますぐに
コートを脱ぎ捨てることができるか。
時々、自分

もっとみる