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生後4ヵ月の愛娘の代わりに生ごみを抱く父。
「生まれて4ヶ月、一度も旦那は娘を抱いた事がないんだよね」
娘が同い年でママ友になったAさんが言った。お互いの色んな事も話せる心地よい距離感が程よく定まってきた時のこと。
「なんでなん!?」
変な声がでた。生まれて初めて驚きで声がひっくりかえる。
子煩悩な旦那さんで家族サービスや、一人でふらっと子供服を選びにいくのが最近の楽しみらしいう話を聞いていたのに。まさか自称イクメンパパ?
「嫌な臭いと菌が体にまとわりついてて抱っこできない、見てるだけでいいって言うんだよね。ゴミ収集の仕事をしてて。ゴミからコロナ感染する恐れがあったりで。やめてほしいけど、こんな時だから頑張るって仕事に誇りを持ってるみたい。」
この日まで世の中には愛娘を抱けず、代わりに生ゴミを抱く父親がいることを知らなかった。この後沢山話をして、結局何も解決はしなかった。けど最後に
「汚いと思われる仕事だから誰にも話した事がなかったけど聞いてくれてありがとう。スッキリ。」
と笑顔で帰っていった。
汚いと思われる仕事か…
私の甥はゴミ収集車が好きだった。お散歩中追いかけ回し、回収ルートを覚えるくらいには。優しくて手を振ってくれたり、元気だった?と声をかけてくれたりもした。でも大人になってもゴミ収集車が好きな人がいるのか。そんな甥でさえもどうだか。
それが世間からの答えでもあった。
確かに私もゴミ収集車を臭いと思ったことはある。生肉調理後の手に菌が付いているような気になりなんでも舐める娘を抱き上げるのを躊躇うこともあった。なんだかわかる気がする。どうにかしたい。
存在する全て生物からゴミは発生する。私からも。旦那さんは人類を支える、まるで地球のような仕事をしてくれている。そんな地球ゴミの未来を考えるなんて甚大すぎる事、私には難しい。でも旦那さんのような身近の人の幸せをそっと願って、小さな配慮なら私にも…。私にできることはなんだろうか。
腐敗・悪臭の防止のために生ごみの水を必ず切る。野菜皮は洗う前に剥く。生ゴミは直前まで冷凍庫で保管する。
生ごみ処理機でSDGsなんてまだそこまでの気持ちにはなれないけれど。
娘にゴミ収集車が臭いと言われた時にどう教えようか。とも考えるきっかけになった。確かに臭い。でも今日もまた軽快にやってくるあのメロディー。ゴミ収集車は大切な家族を、私たちを、地球を守るために今日も頑張ってくれている。