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GOOD WAR TOUR 16.ウェルカムでエンドレス


PIPE  DREAMの稽古のつもりで集まるが、結局GOOD WARのテキストを検討する。
伊奈さん、諸江さん、綾子さん、の代わりに、朗くん、まをさん、私、でテキストを読む。

ウーバーとドローンの話。
空を牛耳られてしまってはもうおしまいだ。

今ここに争いがあるときは、語ることができない。
語ることができることとは、すでに距離が空いている。

「なんでも話してあげるよ」
その言葉はだいぶ魅力的で、ちょっと怖い。底知れない恐ろしさを感じる。
聴く側の度量が求められるような。

まをさんが突然、「朗くん、頭からキラキラが出てる」と言う。
拾ってみると、それは小さな薄いビニール片だった。
「おれの頭皮がビニールになった」と朗くんが言った。

どんどん、作っては作り替え、作り替えては検討してゆく。
それを重ねて作品を作る。

電子ドラムが届いたので、それを組み立てて触ってみる。
電子ドラムの太鼓音を聞いていると、出征の楽団を思い出した。

諸江さんの背中を見ている綾子さんが印象的。背中を見ている人、背中を見られている人、見られている諸江さんが遠くに行ってしまうように感じる。
既に遠い。でもコミュニケーションを取ろうとしている。(でももう無理なんだろうな)
諸江さんと綾子さんの間に汚い窓が見える。

人はすぐにどっかへ行ってしまう。本当にどっかへ行ってしまおうと決めた人には、追いかけてもけっして追いつけない。
あるとき、諸江さんと、残り二人の構図に見えた。諸江さんが寂しそう。と思ったが、ポジションを少し変えたらその雰囲気はなくなった。
みんなそれぞれひとりきりだ。

ファイティングポーズの検討。
一つやっては「それはスト3…」、一つやっては「解像度が高すぎる」「スト2!」「スト4になったな……」とやっていく。

ロシアにはいっぱい熊がいるのに、「熊」を表す単語はロシア語には存在しないという話をツイッターで見かけた。
大昔には「熊」を意味する単語もあったけど、「名前を呼ぶと熊を呼び寄せてしまう」という信仰があり、やがてその単語は誰も思い出せないくらい使われなくなり、ついには忘れ去られてしまったのだとか。

やっぱり伊奈さんはドラムに座ると生き生きとする。反面、ドラムに座った伊奈さんは千手観音みたい。
伊奈さんに向かっていく二人、救いを求めているみたいだ。

椅子に座って前を見ている人を見ると、なぜか「映画を見ている」と思ってしまう。
映画というのはたぶん映画なんだが、それ以上に、なにか長いストーリーを見ているというような、人生の一部分、みたいなものを眺めている、と思っている気がする、それはなぜ、なのだが。なぜだか。

さて、これにて大阪公演前の京都芸術センターでの稽古も終わり。
明日からいよいよ小屋入りです。
名村はとてもとても寒いらしいので、要防寒で。

稽古22回目
日時:2022年1月18日(火)
出席:河井、伊奈、諸江、渡辺、蒼乃、田中
場所:京都芸術センター 制作室9


本作は2021年2月に京都で上演された『GOOD WAR』のリクリエイションを行い、大阪と東京で公演を実施します。

『GOOD WAR』は、私たちが「あの日」と聞いて想像する争いと日常で構成されています。
私たちは生きている限り、これからも誰かと戦い続けなければいけません。現時点で戦っていなくても、生きている限りいつか争いに巻き込まれます。『GOOD WAR』ではいずれ来る「その日」と、過去にあった「あの日」との向き合い方を鑑賞者と共に考えるべく、だれかの「あの日」で集積された記憶のモニュメントとして演劇作品を立ち上げます。

GOOD WAR

原案 『よい戦争』(作:スタッズ・ターケル 訳:中山容 他 1985年7月25日出版:晶文社)
構成・演出 河井朗
ドラマトゥルク 蒼乃まを、田中愛美
出演 伊奈昌宏、諸江翔大朗、渡辺綾子
美術 辻梨絵子
音響 おにぎり海人、河合宣彦
照明 松田桂一
制作 金井美希
制作協力 (同)尾崎商店、黒澤健
衣装協力 MILOU
記録 田中愛美

日時・会場
2021年12月25日(土)〜12月26日(日)|こまばアゴラ劇場
2022年1月26日(水)〜1月30日(日)|クリエイティブセンター大阪 Drafting room(名村造船所跡地) ※以上の公演は終了しました! ありがとうございます!

2022年2月10日(木)〜2月15日(火)|北千住BUoY
※当公演は一部公演日時・内容を変更して実施されます。詳しくはルサンチカWEBサイトをご覧ください。




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