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GOOD WAR TOUR 13.ほがらかに
アゴラでの公演後、そして2022年最初の稽古。
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北千住BUOYで、生ドラムが使えなくなったとのこと。代わりに電子ドラムを使うという。
ドラムのレプリカ、にせもののドラム。
これまでのGOOD WARでは、ドラムの生感みたいなものが非常に重要だったように思う。
結局マイクで拾った音だったりするのだが、それでも生楽器が存在するということ、それを人が(物理的に)叩いて演奏しているということ、その音の大きさ、その驚異、それに対する恐れなど。
いつか誰かが、ドラムって野蛮な楽器だって言っていた。物理的に叩いて音を出しているんだもん。
叩いて、空気を振動させて、音を「出させている」。
人がそれをしているという意味みたいなのが、テーマと、要請される雰囲気を結び付けていた気もする。
ただ、電子ドラムのレプリカ感(ニアイコールモニュメント感)みたいなものが、作品にとってうまく作用するように演出できればそれは、これはツアー公演ならではというか、制作の過程でだんだんすがたを変えてゆくものが見せられてとてもいい気がする。
何度も語っていくうちに個人的な体験がりっぱな「ストーリー」になっていく感じとも似ている。
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領収書の裏にはえんぴつでで名前を書いてくださいとアナウンス。
えんぴつなんて持ってないよ〜とごねていると、まをさんが「私えんぴつ持ってる」と言う。
使いさしの、短いえんぴつ。
「おばあちゃんちにあったえんぴつだと思う」
えんぴつって軽いんだなあ。久しぶりにえんぴつを使った。
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名村は寒くて(寒いというか、暖かいところが皆無、らしい)だだっぴろい。
図面を見ながら話をしている。綾子さんがボソッと「いと広し」と言った。
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アップのため、全員で10分ジャンプ。
キツイキツイと聞いていたが、ジャンプ自体は問題なし。と思ったら、「明日来るよ」と悪魔のささやき。こんなによゆうなのに?
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朗くんから、新しいテキストが与えられる。「えー!」と諸江さん。
新しいテキストを読む諸江さん、ミステリーハンターみたい。あの音楽が頭の中で流れる。
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会えたら会おうねと行けたら行くねの違うところ、同じところ。
慮っている場所と、余白(猶予?)。
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稽古をしながら、これは頭を使うね、と朗くんはラムネを食べる。
今更、と綾子さんが言う。
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振り返るのは、呼ばれた(気がした)から。
「あれやろ、47都道府県」
47都道府県、の一言で、沖縄の、平和祈念公園の、モニュメントの道とわかる。
モニュメントが呼んでいる。
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「諸江さん今日は理屈っぽくない!」「今日は優しい」「髪の毛も優しい」
「2022年の諸江さんの抱負は、優しくなる、なんですか?」
捲し立てる朗くん。
「今日は髪の毛セットしてないから」と諸江さん。
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初演では最後にようやっと作られた三角形が、今回は初めからできていて、ふしぎ。
立ち位置によって綾子さんと伊奈さんの言葉が過去の声に思える。
ここからどうなるんだろう。
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新しく増えたテキスト部分、3人の共同作業感があり、新鮮。遠くからの声、でも側にいる。
それぞれ独立しているのがいいと思っていたけれど、こういうのもいいですね。
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稽古は続きます。みんな気をつけて、よく寝てよく栄養をとって暮らしましょう。
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稽古17回目
日時:2022年1月11日(火)
出席:河井、伊奈、諸江、渡辺、蒼乃、田中
場所:京都芸術センター 制作室4
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本作は2021年2月に京都で上演された『GOOD WAR』のリクリエイションを行い、大阪と東京で公演を実施します。
『GOOD WAR』は、私たちが「あの日」と聞いて想像する争いと日常で構成されています。
私たちは生きている限り、これからも誰かと戦い続けなければいけません。現時点で戦っていなくても、生きている限りいつか争いに巻き込まれます。『GOOD WAR』ではいずれ来る「その日」と、過去にあった「あの日」との向き合い方を鑑賞者と共に考えるべく、だれかの「あの日」で集積された記憶のモニュメントとして演劇作品を立ち上げます。
GOOD WAR
原案 『よい戦争』(作:スタッズ・ターケル 訳:中山容 他 1985年7月25日出版:晶文社)
構成・演出 河井朗
ドラマトゥルク 蒼乃まを、田中愛美
出演 伊奈昌宏、諸江翔大朗、渡辺綾子
美術 辻梨絵子
音響 おにぎり海人、河合宣彦
照明 松田桂一
制作 金井美希
制作協力 (同)尾崎商店、黒澤健
衣装協力 MILOU
記録 田中愛美
日時・会場2021年12月25日(土)〜12月26日(日)|こまばアゴラ劇場 ※こちらの公演は終了しました! ありがとうございます!
2022年1月26日(水)〜1月30日(日)|クリエイティブセンター大阪 Drafting room(名村造船所跡地) ← NEXT
2022年2月10日(木)〜2月15日(火)|北千住BUoY