パラレルな日本が舞台のファンタジー 「愚かなバラ」 著:恩田陸
暑い日が続いていますね。もうすぐ夏休み!というワクワクしている学生のみなさんも多いでしょう。
夏のはじまりにぴったりの本を読みましたのでご紹介。
今の日本とは設定がちがう、パラレルワールドの現代日本が舞台の作品。
遠い宇宙を旅する「虚ろ船乗り」という人々がいる世界に生きる、女子中学生のお話。
作品の舞台は磐座(いわくら)というおそらく関西?の方にある田舎の夏の山で、選ばれた少年少女がキャンプと呼ばれるものに参加します。
物語はずっとこの磐座で起こるんだけど、序盤から不穏な空気がただよっていて、何が起こるんだろう、どういう意味なんだろうと、ハラハラの連続。
ホラーなわけではないのに、なんだか落ち着かない気持ちが続くこの感じ。
中学生の頃って、こんな感じだったっけ?
自分が中学生だったころって、もっと
ガッツ! ファイト!
って感じの生活をしてたので、他のみんなはもしかしたらこんな感じなのかも。
この磐座って場所は架空の場所なんだけど、どこにあるのか明確に地域も書かれていない。
なんとなく関東にある風なことも書いてあった気がするんだけど、言葉なまりが関東民が想像する京都弁って感じ。
これを関西の人が読むとどこのなまりだと判定するんだろう?
お味噌汁のこと、今でも「おみおつけ」って言うの京都くらいなんじゃないの?
京都といえば、今年の初めに京都に一人旅をしたときのプチエピソードが。
観光シーズンじゃなかったから、どこも人が少なくて、日本人観光客よりも海外からの観光客の方が目立ってた印象です。
神社仏閣にも海外旅行客の皆さんがまあまあいたんだけど、案内に立ってる人すべてが英語堪能なわけではなくて英語はぎこちない。
でも、言葉がつたなくたって、ちゃんと伝わってれば問題ない。
問題ないんだけどもね、日本人相手に
「チケットを拝見いたします」
と言うところで、外国人相手にぶっきらぼうに
「Ticket」
ってだけ言って手を差し出すのはさすがにちょっと日本人としてどうかしらと思ったのよね。
毎日観光客を相手にしていて、面倒な客とか迷惑な客もごまんといるんでしょうけど、それでもそこは「おもてなし」じゃない?と。
そう思いながら他の外国人のお客さんへの対応を見ていたら
「Ticket」
って、私も手を出されまして。
京都に行ったときは髪の毛が前頭ピンクだったんだけども、
周囲から浮いてる髪色と顔立ちからアジア系観光客だと思われたらしく、係のお姉さんに雑な英語に衝撃!
見た目だけで色々ジャッジして対応変えるの、良くないよね。
他人のふり見て我がふり直そうと思ったできごとでした。
本の話にもどると、買ったときの帯には「SF」と書かれていました。
わたくし、SFとファンタジーが好物なんですが、こちらの作品は本格的なSFを求めている人にはちょっと向かないかもしれません。
細かい設定は置いておいて、世界観と人々の心情を楽しむものと思って読むのをおすすめします。
SFのふところとは、海のように深いものなのです。
真宵-mayoi-