映画「Maggie's Plan」私はマギーのように生きたかった
久しぶりにこの映画を観た。
恐らく三回目。noteに書いたことがあった気がしたが、まだであった。
私はかつて、主人公マギーのように生きたいと思っていた。
実にユニークな映画である。主人公が「パートナーはいない、シングルのまま、子どもを産み、育てたい」と、友達に話す場面からストーリーは始まる。
これまで沢山の映画を観てきたが、こんな風に語る同世代の女性を観たのは初めてだったと思う。この時点でもうこの映画に釘付けになった。
私は、マギーに私を見たのだと思う。確実に、かつての私は彼女を新しいアイデアをみた。
私は30歳を前にカナダにやって来た。三十路は売れ残り、と言われる社会から抜け出した、というのも少しはあった。それまでは人並みに男性と付き合い、職場の先輩と婚活なんかもしたりした。割と古風な感覚を持っていた当時の両親にも「まだかねぇ」なんて小言を吐かれていたりもした。
そんな時、この映画を初めて見て、未婚の母か…とアイデアを受けた。
実際にカナダで出会った数人の男性にこの話をした事もある。
とある人は言った。「当地ならそれはありかもね」と。
私もそう思っていた。割と最近まで。未婚の母なんて世の中にごまんといて、当地ではそれは全く珍しくなかった。子どもの両親が結婚していなかったり、事実婚を選択し続けていることなんてもよく聞くし、再婚同士でお互いの子どもを育てたり、一人で養子を育てる女性にも出会ったことがある。
しかし、私はまだそのスタート地点には立てていない。経済的にも社会的にも不十分で、子どもを一人育てるという責任をまだ負えないという事実。
更に、近頃病気になり、これまで保育士として働いていたのだが、手術後に傷が痛み、友達の子どもを抱っこ出来ないという事があり、とても衝撃を受けた。子どもがいなくて良かった、と割と本気で思った。私の生活はがらりと変わり、責任感というものからは遠く離れた。毎日のらりくらり、独り身を謳歌している。
マギー演じるGreta Gerwigが好きだ。近年では映画監督としての活躍が知られているだろうか。「バービー」や「レディ・バード」、「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」などをご覧になった方もいるかと思う。
彼女は私にとって、人生の先輩のような存在である。女性として、道を確立し、確固たる意志がある。憧れている。唯一無二の存在。
私は彼女の作品をリアルタイムで目撃し、とてもラッキーだと思っている。彼女の演じるキャラクターは時に迷い、周りに支えられ、もがき、等身大の存在、という形容詞がしっくりくる。
昨晩はこれを観たので、今晩は彼女の他の主演作である「フランシス・ハ」を観ようと思っている。これもまた、私の好きな映画である。