ヤツらの“裏側”を直視する時が来た……映画『キラーカブトガニ』の猛攻!(ネタバレ無し感想)
……“裏側”というのは、何も隠された秘密だとかそういうやつではない。
単純に“甲羅じゃない側”の事である。
2023年最初にして最大の期待作『キラーカブトガニ(原題:Crabs!)』が遂に日本上陸……そう日本上陸なのだ!!
去年、新宿武蔵野館さんでこの作品のフライヤーを手にし、私は軽く震えた。
甲殻類や多脚生物の裏側が恐いからである。『群がり』の記事でも触れたが、私は昆虫とカニやエビに関して感覚的に境目が曖昧だ。
特にカニとクモは完全に同じ脳内フォルダに入れられており、食卓にタラバガニの丸ごと茹でを出されたタイミングで
「はい、そしてタランチュラの唐揚げ」
みたいに隣に皿を並べられても何も感じない(し、普通に食べられる)。
だがそれは、甲羅が上に向いていれば、の話なのだ。
この事実からも、そして水族館のタカアシガニや若い頃飼っていたクモ類、ダンゴムシ達の裏側からもそこはかとなく目を逸らし、恐る恐る薄目のソフトフォーカスで捉えてきた。だってヤバげにうごめいてるじゃん。
雨パミラーになった時数えきれないナットレイをカブトプスのばかぢからで粉砕した経験を持ち、好きな無脊椎生物は「防御力高めのやつ」(好きなゾイド:グスタフ)という私だが、それはほぼメタリックで無機的な装甲側への愛だ。
幾何学的であれ、もじょもじょで有機的に動く裏側は直視しない。そっと薄目で眺めるだけ。
こんな裏側恐怖症の根源には、幼いときに観た『エイリアン』のフェイスハガーの存在があるのだが、私もホラー映画大好き人間。ここは、ホラー映画のトラウマを払うにはホラー映画、毒を以て毒を制すの荒療治だ!
というわけで、フライヤーと予告編からひしひし感じるB級モンスターパニックのキッチュさ可愛らしさに心を踊らせながら、早速公開間もない『キラーカブトガニ』を観てきたわけだが。
正直、全てが「面白い!」で満ちていた。
純度100%のモンスターパニックであり、ホラーコメディであり、特撮の娯楽作。
モンスターパニックの得意とするハチャメチャ感、B級ホラーの持ち味である明るい景気の良さ、それらの名作のオマージュともとれるサービス満点の遊び心、クリーチャー系特撮のケレン味。
その全てが“お約束”であり“面白要素”として、特上船盛のようにカリフォルニアの田舎町で繰り広げられていく。
これらのジャンルが身近な人はもちろん、
「生き物が襲ってくるって内容の映画ってどうフィクションの味つけが入るの?」
とか、
「ホラーは怖いはずでしょ?ホラーコメディって怖いの楽しいの?」
とか、
「子供の頃はスーパー戦隊好きだったけど、大人になってまで観たいとは……」
とか、この手のジャンルをあまり観た事がないよって人にもバッチリオススメ。
何なら“B級モンスターパニックホラー鑑賞の入門作”と言ってもいい!!
キャラクター達も個性的で皆愛せるし、そして町を恐怖に陥れるカブトガニ達も、怖くてグロいだけじゃなく、これでもかってくらい愛せる(笑)。
『マッドゴッド』を観た時に客席に老若男女がいた時には意外さと「……皆楽しめたかな、グロやカオス平気だったかな」とか、いらん若干の焦りを感じたけれど、今回の『キラーカブトガニ』の観客が老若男女まんべんなかった事には奇妙な楽しさと喜びを感じてしまった。
ヒューッ!!最高の時間だったよなあみんな!老若男女問わずキラーカブトガニ好きな奴らは大体友達!みたいな。
さて、結論から言うと、私は最高の映画『キラーカブトガニ』でカブトガニの裏側のグロテスクを完全に克服した。
だってあんなに可愛いあんよとか……などが隠れているんですもの。
……尚、カブトガニの裏側は克服したけれど、フェイスハガーを克服したとは言ってない(涙)。
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