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女性特有の健康課題による経済損失3.4兆円、何かを諦めることなく働ける社会へ~雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会報告書

令和6年2月から11回にわたり、女性活躍推進やハラスメントについて現状の分析や論点整理を行い今後の在り方を検討してきた、厚生労働省「雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会」報告書が公表されました。

1.女性活躍推進法等を通じた雇用の分野における女性活躍の更なる推進
2.月経・不妊治療・更年期等の健康課題への対応
3.職場におけるハラスメント対策の充実

この3つの大きな柱のうち、2の健康課題では、
女性特有の健康課題による社会全体の経済損失は、3.4兆円という試算が出されました。

雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会報告書 参考資料集より

経済損失が大きいから対策する、のではなく、みんなが困難を抱えすぎることなく楽しく働けるようにするために対策する、のほうが個人的には嬉しいですが、経営者の判断基準にはやはり数字も大事です。

女性特有の健康課題の方が経済損失が大きい理由は、以下の資料をみると一目瞭然です。
女性のほうが不安定、そして変化が急激なのです。

雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会報告書 参考資料集より

実際、女性特有の健康課題で、仕事に関する何らかのことを諦めた人が、4割以上いるそうです。

雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会報告書 参考資料集より

なかでも、月経については、多くの女性が悩んでいます。

「通常の状態の仕事の出来を100%として、月経(生理)による不調がつらい時の仕事の出来はどれぐらいだと思いますか?」という質問について、月経の不調がない人の「もしあったとしたら」という回答を含め算出したところ、仕事が52.2%が出来になるという調査結果もあります。

雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会報告書 参考資料集より

一方で、「治療して症状を軽減している人は、比較的仕事への意欲が高い」という調査結果もあります。

この課題について、報告書は、以下の通りまとめています。

①性差の特徴に応じて健康課題に取り組むことは社会的便益につながり、労働者個人の生活や仕事のパフォーマンスの向上につながるという視点が重要。プライバシー保護への留意も必要。

②女性特有の健康課題については、ヘルスリテラシーの向上が重要であり、国がコンテンツの作成・周知に取り組むことが望ましい。女性の健康ナショナルセンター(仮称)との連携も重要。

③女性特有の健康課題への取組の要素を女性活躍推進法の事業主行動計画に盛り込むことを検討すべき。行動計画策定指針に、健康支援やヘルスリテラシー向上の意義、プライバシーへの配慮の必要性等を明記することが考えられる。なお、企業が取り組む際には、産業保健スタッフの活用も検討されることが望ましい。

④女性特有の健康課題に取り組む企業を評価するための、えるぼし認定制度の見直しをすることが適当。

まだまだこれから、といった印象です。

ということは、今のうちから対策をすれば、法制化されてから動く会社との差別化ができます。

実際、厚生労働省サイトで以下のような企業取り組み事例も紹介されています。

投資判断において、女性活躍情報をみるという投資家は2022年段階で65.4%います。

この数字は、多様化が重要視される時代、これから上がることがあっても下がることはないでしょう。

女性が、女性特有の健康課題で、何かを諦めることなく働ける社会。

そんな社会が近づいてきているように思います。

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