職場の健康診断は、受けたあとが大事~9月は職場の健康診断実施強化月間
職場で、一定の基準を満たす時間働いている人に健康診断を受けさせることは、会社の義務だということをご存知ですか?
会社の義務であることは労働安全衛生法第66条に基づき決められており、健康診断を実施しなかった場合は罰則もあります(労働安全衛生法第120条により50万円以下の罰金)。
会社は、健康診断を実施したあとは50人以上の規模の企業であれば労働基準監督署への報告も必要です。
ついつい「実施すること」に意識がいきがちですし、従業員である私たちも「受診して結果を確認する」ことにスポットがあたりがちです。
ですが、大事なのは「受診したあと」です。
毎年9月「職場の健康診断実施強化月間」。
厚生労働省は、リーフレットで「健康診断及び事後措置の実施の徹底」と「医療保険者との連携」を呼びかけています。
1.そもそも、なぜ健康診断が義務なの?会社が健康管理をしなければならない理由は?
労働局のQ&Aによると、以下のとおり。
会社は、従業員の業務内容や業務量をコントロールする立場にいます。
したがって、従業員のキャパシティに不適正な業務指示や業務量を与えることはあってはなりません。
つまり、従業員のコンディションを定期的にきちんと把握し、悪化する前に必要な手をうつことが大事となっているのです。
つまり、健康診断は業務の見直しのきっかけとするものであって、問題がないことを確認するものではないということです。
そこで、大事になってくるのが、厚労省のいう「事後措置」です。
2.「健康診断及び事後措置の実施の徹底」「医療保険者との連携」とは?
厚生労働省のリーフレットを見ると、「有所見者(結果に異常値がある人)に対する医師からの意見聴取を徹底しましょう」とあります。
その医師からの意見がそのあとの見直しのスタートになりますので、まずはそこはおさえる必要があります。
ですが、グラフを見ると、1000人以上の企業ではほぼ医師からの意見が聴取できていますが、99人以下になると90%を切り、49人以下だと50%を切るという結果になっています。
50人未満の規模の会社は、労働基準監督署に届け出る必要がないこともあり、健康診断をあまり重視していないケースもあるかもしれません。
ですが、いまは健康経営がうたわれる時代です。
厚生労働省が所管する独立行政法人労働者健康安全機構が運営する公的な機関、「地域産業保健センター」では、労働者数50人未満の小規模事業場への支援を無料で行っています。
こういったことが広まれば、今後は、企業規模にかかわらず、事後措置をしっかり行なう時代がやってきそうです。