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【墨絵本】線のたび

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埋もれていたスケッチブックを発掘したことから、思いつきで始まった物語。 墨絵本。
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2021年12月の記事一覧

線のたび(11)

線のたび(11)

果てしなく広がる宇宙の何処か奥深い場所から、まだ行った事のない憧れの何処かへと下へ下へと降りてきた宙の子。

途中で出逢えたちょっぴり気になる子は、自分が居た宇宙を目指して昇っていくと言っていた、天の子。

天の子が住んでいた場所は、
遠くから、ぼんやりと浮かんで
柔らかく暖かそうな色に包まれていた心地良いところだった。

碧や緑や翠色が混ざって、
ずっと留まりたくなるような、
不思議な場所。

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線のたび(10)

線のたび(10)

宙の子は、フワリと上から持ち上げられるような不思議な力を感じながら、身を任せていた。「なんだろうな、この感じ。
僕は、まだここに居たいのに。
でも、行かなければならない氣もするし。
なんだか、また眠くなってきたな。」

宙の子は、静かに自分を包み込むあたたかくて、柔らかいものを感じながら、再び眠りに落ちた。

そして、降りてきた軌跡をまた辿り帰るように、すっと、軽やかに上へ、上へと昇って行った。