第一章 ベガの記憶
この小説のきっかけのお話。
以前簡単にまとめた短編小説。
この小説の全貌だと思って頂ければ幸いです♡
プロローグ
物語は主人公の不安定な日常から始まります。
ある夜、いつもと異なる夢に導かれ、彼女はベガの空を眺める自分を見つけます。
そこに現れたのがウリシュナでした。
「ウリシュナ」は、星と人をつなげる巫女のような存在。
ウリシュナは、宇宙の各星々が地球の危機に警鐘を鳴らしていることを語りかけます。
「あなたの役割は、地球と宇宙の真実を伝えること」と告げられます。
ベガの記憶 漆黒の闇とドラゴン
宇宙のどこか、時間と空間が交錯する深淵のような場所に、ベガの記憶は眠っていた。
その記憶が甦ると、目の前には圧倒的な暗闇が広がり、その中に無数の巨大なコンピューターが整然と並んでいた。
この空間に漂う静寂は、異様なほどに冷たく、しかし奥底には膨大なエネルギーが渦巻いていた。
コンピューターたちは、膨大な情報を秘め、星々と次元を越えてすべてを繋ぐ存在であり、それを管理するものたちもまた、様々な姿を持っていた。
その存在たちの中には、エネルギーそのもののような者もいれば、明確な人の形をした者、そして形のない、不思議な姿をした者もいた。
だが、私は人の形をした巫女だった。
古代の知識と叡智を授かり、この場所を訪れる魂の守り手として存在していた。
暗闇に佇む無数の扉の奥には、小さな部屋が果てしなく連なり、まるでこの場所そのものが無限に広がる迷宮のようだった。
そして、それぞれの部屋には神聖な存在、ドラゴンたちが住んでいた。
彼らは純粋なエネルギーであり、ベガの叡智と宇宙の記憶を司る存在だった。
しかし、その静けさと秩序は次第に揺らぎ始めた。
何者かの意志が闇を広げ、この聖域に住むドラゴンたちを漆黒の闇の中へと追いやり始めたのだ。
重く、冷たく、押し寄せるように広がっていく闇は、次第にその圧力を増し、扉の奥深くに住むドラゴンたちを次々と闇に呑み込んでいった。
ドラゴンたちは、かすかにうねるような鳴き声をあげ、その悲しみと苦しみが空間全体に響き渡る。
ある者はもがき、
ある者は叫び、
闇に引きずり込まれる彼らの姿が心に刺さった。
私は、彼らの苦しみが自分の苦しみのように感じ
胸の奥に激しい痛みを覚えた。
「どうしてこんなことが起きているのか…誰が、何のために彼らをこの暗闇へと追いやろうとしているのか?」
そう問いかけながらも、私は答えを求める間もなく、その暗黒の淵へと向かっていた。
彼らを見捨てるわけにはいかない。
ドラゴンたちの悲しみに満ちた鳴き声に、私は居ても立ってもいられなかった。
彼らと共に行こう。
もし闇が彼らを呑み込むなら、私もその闇と共にあるべきだと決意し、私は一歩踏み出した。
暗闇の中へと飛び込む瞬間、私の周りにはドラゴンたちの声が渦巻き、その響きは心の奥底に染み入るようだった。
その声は次第に弱まり、やがて暗黒がすべてを覆い隠していく。
私は闇の中で一瞬、祈りを捧げた。
ベガの知識が守られ、いつの日か再び光が戻ることを願って…。
こうして、ベガの時代は終焉を迎えた。
それは、私たちの世界が深い闇に呑み込まれる瞬間でもあった。
失われた知識と、行方知れずのドラゴンたち。
ベガの記憶は、漆黒の闇の中に封じられ、星の巫女と共に永遠の眠りについたのだった。
つづく
イメージソング
龍と巫女が目を覚ますことを願って…