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オッペンハイマーの感想〜豪華な俳優陣の演技〜
オッペンハイマーを見ました。
クリストファー・ノーランの監督の作品ということもあり、さすがはアカデミー賞を取った作品だな!という印象でした。
クリストファー・ノーラン監督はインターステラーや、インセプションで有名な人です。
オッペンハイマーは「原爆の父」として知られる物理学者ロバート・オッペンハイマーの生涯を描いた映画ですが、後半は「オッペンハイマー事件」に焦点が当てられます。
オッペンハイマー事件は、第二次世界大戦後のアメリカで起きた重要な政治的出来事です。 この事件は、原子爆弾の開発に貢献し、科学の進歩に大きな影響を与えた物理学者であるロバート・オッペンハイマーが、共産主義者との関わりを理由に政府の監視下に置かれ、その後安全保障承認を剥奪されたことに関連しています
オッペンハイマーが自身の開発を後悔し、罪悪感に苛まれる中、彼を陥れようとする勢力や、戦後の赤狩りによって追い詰められていく様が描かれています。
個人的には映画後半の彼の苦しみと、周囲の人間の思惑が描かれているところがこの映画の面白さだと思いました。
正直、オッペンハイマー含めクズっぽい人ばかり登場しますが、人間の闇を見ることができる作品です。
それぞれの強み、良さが最大限に活かされた人選
個人的には俳優陣が豪華!
(このブログでは俳優陣に焦点を当ててみたい!)
ゲイリー・オールドマン
何気に一番目を引いたのは、最後に出てくるトルーマン大統領。
オッペンハイマーが大統領に謁見するシーンが印象的でした。
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大統領は原爆を作ったことを称賛し、「君を今回のプロジェクト(原子爆弾の開発を目的とした「マンハッタン計画」)のリーダーにしてよかった」と優しい雰囲気で迎えてくれます。
しかし、オッペンハイマーが"Mr. President, I feel I have blood on my hands. (大統領、私は自分の手が血塗られているように感じるのです)"と自分の罪悪感を口にすると、大統領は態度を一変させます。
ちなみに、大統領に直接呼びかける際は、”Mr. President”と言います。"Truman President"などと、名前をつけて呼ぶことはないようです。日本でも「総理」などと呼びかけるのと一緒です!
他にも目上の人に呼びかけるときに使う英語はこちらへ:
トルーマン大統領はKKK加入歴もあり、原爆投下を承認した人でもあります。
この迫力感ある演技を見せてくれたのがゲイリー・オールドマン。
ハリー・ポッターシリーズではシリウス・ブラックを演じていて、ナイスガイのイメージがありますが、実は悪役も得意な印象の俳優さんです。
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ゲイリー・オールドマンの出演時間はかなり短く、ほんの数分程度。
それでもトルーマン大統領の冷酷な恐ろしい様を演じて印象を残していてさすがすぎる…!
エミリー・ブラント
オッペンハイマーの奥さんであるキティ役は、エミリー・ブラント。彼女の演技も光っていました!
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すでに夫婦関係は壊れていましたが、オッペンハイマーを詰問する会では夫を守るために答弁します。
(ちなみに実在したキティはオッペンハイマーと出会う前にすでに3度結婚していたらしい…!)
エミリー・ブラントは怒ったり、嫌味を言ったり少しツンケンしているけど真面目で賢い女性の役が得意な印象。
プラダを着た悪魔では主人公のアンディに結構きついことを言う同僚を演じていましたよね。
その他の俳優陣
ロバート・ダウニーは、優秀だけど、欠陥のある人が向いている。アイアンマンを演じていたときも、ちょっと鼻につくけど優秀な男性の役をものにしていました。
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ラミ・マレックは、ちょっと浮世離れした、何を考えているかわからない人が得意な印象。
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フローレンス・ピューはオッペンハイマーの浮気相手。私が好きな映画「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(Little Women)」では主人公の姉から結婚相手を奪う役をしていたので、こういうムカつく嫌な女がかなり似合うというイメージがある…フローレンスは、自分の良さをよくわかっているので、こういったヒール役(悪役)で頑張っているのかな?と勝手に感じました。
俳優さんたちは自分の良さを発揮できる役をよくわかっているんだな〜と尊敬します。
この作品は名だたる俳優陣の良さを最大限に引っ張り出したような作品!
洋画好きにはたまらん!みたいなところなんじゃないでしょうか。
歴史の映画としてではなく、「当時の事件を取り巻く人間の汚い感情を楽しめる映画」として見るとアカデミー賞を取ったことも頷けるかも。
賞をもらうということ
最後のアインシュタインからオッペンハイマーに向けられた言葉がとても意味深…だったので抜粋:
Now it’s your turn to deal with the consequences of your achievements. And one day... when they’ve punished you enough... They’ll serve salmon and potato salad, make speeches, give you a medal... Pat you on the back and tell you all is forgiven... Just remember. It won’t be for you, it’ll be for them.
今度はあなたが自分の功績の結果に対処する番だ。
ある日...彼らがあなたに十分な罰を与えたら...彼らはサーモンとポテトサラダを出し、スピーチをし、賞をくれるだろう..
背中をたたいて、すべて許すと言うだろう...覚えておいてください。それはあなたのためではなく、彼らのためです。
オッペンハイマーはスパイ容疑で公職追放されますが、後にエンリコ・フェルミ賞を取ります。この賞は、公職追放は間違いだったと国が認めたために、罪を埋め合わせる形で授与されました。
アイシュタインは"Just remember. It won’t be for you, it’ll be for them."と最後に言い残して去ります。賞をもらえるかどうかは上げる側の贖罪、つまり授ける側が許してもらうためのもの、という側面があるというメッセージでした。
アカデミー賞やゴールデングローブ賞、審査基準がよくわからないですが、
このオッペンハイマーがアカデミー賞を受賞したことは、誰のためだったのだろう…?と考えされられる言葉かも…!
オッペンハイマー、3時間という長丁場で、題材も重いので、見るときは心の準備が必要です。でも見る価値はあり!