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『チ。』のヨレンタに思うこと
25年後に時は移り変わり、第3章に突入したアニメ『チ。』。
第18話のラストで、異端解放戦線の組織長がかつて新人の異端審問官によって拷問から逃がされたヨレンタだと明かされました。
僕は、ヨレンタが組織長だった展開がけっこうつらくて。
25年前、ヨレンタはそもそも天文研究助手の少女でした。人を殺めるなんてことはしなくてもいい生活を送っていたんです。
なのに、大人になったヨレンタ、いやヨレンタさんは、第3章の主人公・ドゥラカの首元に剣を突き立てます。
ヨレンタさんの目は、どこか疲れているように見えます。年をとった表れでもあるんでしょうが、その目が異端解放戦線のトップとしてこれまでしてきたことを物語っているように感じました。
何人も人を殺めてきたんでしょう。地動説に出会わなければ、少なくとも彼女が剣を握ることはなかったはずです。
ヨレンタさんは地動説と出会って不幸になった……と考える人もいると思います。僕も最初は彼女が不憫でした。
ただ、ヨレンタさん本人はきっとそうは思っていないんですよね。だって、地動説によって人生最大の“感動”を得られたから。
ヨレンタさんは地動説と出会い、つつましい日常やオクジーとバデーニという仲間、さらには拷問で歯まで失いました。
ヨレンタさんだけでなく、これまでの主人公であるラファウとオクジーも地動説によって大きく人生が変わってしまいました。狂わされたといってもいい。
でも、彼らは「なんて不幸な人生だったんだ……」と後悔しながら最期を迎えていません。むしろ、その逆だった。
そう考えると、現在のヨレンタさんもけっして不幸ではないんだと思います。
というか、今は「幸せだ! 不幸だ!」とやいやい言うのも違う気がしています。それはヨレンタさん自身が決めることだし。
大人になり、信念を持ったヨレンタさんは凛々しく、カッコいいです。クセ強なシュミットたちを束ねているのもすげぇよヨレンタさん……!