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なぜ星野アイは【推しの子】の“象徴”であり続けるのか?

【推しの子】のネタバレ基準ってむずかしくね……?

アニメ初回で衝撃的な展開があるし、それが他の作品だったら核心的なネタバレになるようなもの。

ただ、今回はその内容をプロローグとみなしてゴリゴリ書いていく。まだ未視聴でまっさらな気持ちで【推しの子】を観たいという人は、観た後に読んでもらえるとうれしい。

不在でも作品のシンボルであり続ける星野アイ

【推しの子】のネタバレか迷ったのは、実はこの作品が「転生もの」であり、メインで描かれるかと予想していた星野アイが殺されてしまう部分だ。

主人公・ゴローは謎の人物に殺されて星野アイの子ども・アクアに転生し、その後アイも突然家にやってきた人物に刺されて死んでしまう。

アイを殺した人物を突き止めるためにアクアは芸能界に入り……という、まさかの復讐劇だったストーリーが意表をつかれて面白い。

この展開はアニメの初回で描かれていて、アイは早々に大きな出番を終える。

しかし、星野アイは【推しの子】の顔といえるほど作品の“象徴”として君臨し続けている。

いったいなぜだろうか?

アイの“伝説化”と“偶像性”

アイは「B小町」というアイドルグループでセンターを務めるトップアイドルだ。

アイが殺された日も、ドーム公演の当日だった。それは「B小町」やアイがドームでライブができるほど人気があり、売れていたということ。

そのうえ、アイ自身が魅力であふれる存在だった。ビジュアルがとてもいいうえに、見るものを惹きつける天性の才能を持っていたのだ。

そんなトップアイドルのアイは、悲劇的な死をとげたことで“伝説化”したんだと思う。

すこし話はそれるが、僕は推していたアイドルユニットがいた。

過去形なのは、テレビに取り上げられてこれからグイグイくるぞ……! というタイミングで解散を発表し、今はいないからだ。

そのときの感情をまだ覚えている。言葉にならない衝撃、かなしみ、なんで?? という疑問……。同時に、この子たちは“伝説”になったと思った。

アイドルは、メンバーの年齢などによって人気が大きく左右されやすい。人気である時期は長くなく、その限られた時間で目一杯に輝く刹那性がアイドルの魅力でもある。

一番輝いている瞬間に終わるのは、衰退のない究極のアイドルといっても過言ではないと思う(これについて、死や解散を肯定するものではなく、推しの元気な姿をずっと見ていたいと思っている)

そして、【推しの子】はアイドルの“偶像性”を扱った作品だ。

理想やあこがれの姿を観客に見せるのがアイドルの仕事で、アイドルであるアイもまた偶像だ。自身や立ち振る舞いを嘘で偽るアイがそれを物語っている。

“嘘”や“偶像”といった【推しの子】が持つテーマが、そのままアイにかさなってこないだろうか。

アニメ【推しの子】の初回でアイは死んでしまったが、この作品はアイにまつわる物語であり、すべてはアイから始まった。

だから、星野アイは【推しの子】の象徴となり、ずっと愛され続けているんだと思う。

「愛」や眼に輝く星、アイドルとしてのスター性といったいろんな意味が名前に含まれているように、星野アイというキャラクターはとても奥深く面白い。

そういった目線で、7月からスタートするアニメ2期を観てみるのも面白いと思う。


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