禊ぎと穢れから神道を考えたうえで、仏教と神道を比較してみた。
さてさて。
手水から神道を考えみるの続き。
手水が時短禊ぎだったということが分かったのですが、そもそも禊ぎ(みそぎ)は何ためにするのかを考えてみたいと思います。
まずは定義から。
罪や穢れを落とし自らを清らかにすることを目的とした、神道における水浴行為
汚れたものをキレイにするって感覚は分かる。
だけど「罪」ってのがいまいちピンとこない。近代的な感覚のような気がして。古代日本における「罪」って一体どういうものなんだろうと思って「神道 罪」でググったら出てきた。笑
神道には天つ罪・国つ罪(あまつつみ・くにつつみ)という罪の概念があるそうです。天つ罪は農耕を妨害したり神祭りを冒瀆すること、国つ罪は社会秩序を破壊する悪行のことをいうようです。
天つ罪の一例
畔放(あはなち) - 田に張っている水を、畔を壊して流出させ、灌漑を妨害すること。『古事記』・『日本書紀』にスサノオが高天原においてアマテラスの田に対してこれを行ったと記している。
頻播(しきまき) - 他の人が種を蒔いた所に重ねて種を蒔いて作物の生長を妨げること。『日本書紀』に記される
糞戸(くそへ) - 高天原においてアマテラスが大嘗祭を行う神殿にスサノオが脱糞したのが起源。神事に際して祭場を糞などの汚物で汚すこと。
スサノオ、ひでぇな。
国つ罪の一例
生膚断(いきはだたち) - 生きている人の肌に傷をつける
己(おの)が母犯せる罪 - 実母との相姦(近親相姦)
昆虫(はうむし)の災 - 地面を這う昆虫や毒蛇による災難
などなど。
ここには、自分が行う行為もあれば、災難もある。いずれにしても、神道においては「豊穣を妨害する行為」「生命を脅かす行為」が「罪」と捉えられていた。(あと神を冒涜する行為も。)
では「穢れ」(けがれ)とは何か?
ケガレの語源は「気枯れ」と考えられ、日常の生命力が減退した状態を指すそうです。そのため、死、疫病、病気、怪我、月経、出産(昔は出産で命を落とす人が多かった・・・)は「ケガレ」として恐れられていました。
最初の「みそぎ」に戻りますと
罪や穢れを落とし自らを清らかにすることを目的とした、神道における水浴行為
ということで、神道における罪や穢れは、社会的な善悪を基にしたものいうよりも、生命に悪影響を及ぼす行為や状態のことを指すんじゃないかと思うのです。それってつまりどう言うことかというと、神道において最も重要視している価値観が「生命力」なんじゃないかと思うのです。
ところで、日本の神話で一番最初に誕生する三柱の神さま、ご存知です?
造化三神(ぞうかさんしん)と言って、天地創造の一番最初に誕生します。
⒈ あめの みなかぬしの かみ(天之御中主神)
⒉ たかみ むすひの かみ(高御産巣日神)
⒊ かむ むすひの かみ(神産巣日神)
ナンバー2と3の神様は「産」という文字が入っていることからも分かる通り、子孫繁栄とか生命力を司る神さまです。神道において、生命が尊いものだと考えられている証です。
で、日本の神さまが最もキライなものが、穢れ(「気枯れ」)なんです。
中でも神道で最も忌み嫌われるのが死穢(しえ)です。
死穢は伝染するものと考えられており、現在でも、喪中(もちゅう)の期間は(故人が亡くなってから大体1年間程度)神社への立入はタブーとされています。神聖なる神様の領域に、穢れ(「気枯れ」)を持ち込むと神さまの怒りを買うことになるからです。
となると、神さまのくせに罪を冒しまくるスサノオはとんでもないクレイジーな野郎だなと思う訳です。笑
はい、ここまで仏教と神道とかを自分なりに勉強してみて、思ったことを表にしてみました。
まず、仏教と神道は目線の方向性が違う。仏教は内側を向くのに対し、神道は信仰の対象が自分の外側にある。
目的も、仏教は苦しみから解放されることをゴールとするのに対し、神道は五穀豊穣や子孫繁栄など、国が豊かになること(そしてあわよくば自分も恩恵にあやかれますように・・・!)を願っている。
その目的を達成するために、自分が実践することも異なる。仏教は坐禅を組んだり、お経を読んだりして、徹底的に自分と向き合うのに対し、神道は神さまの好きなお供物をしたり、神さまが嫌いな穢れを持ち込まないようにしたり、神さまが行動の動機になっている。
総合的に、ワタシの中で仏教はマイナスのイメージ。自分の内側に向かって、あれも無い、これも無い、最初から全て無い。どんどん色んなものを引いていってゼロに向かうプロセス。逆に神道は尊い神さまが生命エネルギーを司っていて、人々を惹きけるプラスのイメージ。
よく日本の仏教と神道は陰陽の関係に喩えられると思うんだけど、それはなんとなく、それぞれのマイナスとプラスの側面を表しているのかなと思ってみたり。
日本では神仏習合といって、長い時間を経て、仏教と神道が融合していますけれど、「自分と深く向き合いながら、自然を畏敬する」って、その考え、確かに両立できちゃう。
うまく出来てるなぁって、妙に納得したのでありました。
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参考にしたサイト:
めちゃめちゃ分かりやすかった。イラストがすごくかわいい!!
参考書籍:
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