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うまくなりたい、
まだまだ足りない。もっと、もっとうまくならないと。これが最後の夏になるかもしれないんだから。
吹奏楽の夏。今年でもう8度目の夏。
ジワジワと蝉が鳴きしきる夏の日、連日音楽室に通い、みんなで最後の曲を作り上げる。私にとっての夏はプールや夏祭りの思い出よりも、とにかく音楽に全力を注いだ記憶で占められている。
今週末、ついにこの夏最初の大会がある。週3だった練習は1週間しっかり詰め込まれることになり、今は授業後に毎日練習へと向かっている。そして練習の合間に記事を投稿する、そんな日々。
(おかげさまで記事は途切れがち。この次の大会が終わるまではぼちぼちやります)
なのに、本番直前だというのに、技術力がちっとも足りない。そのことを自覚したのが遅すぎたし、本番までに片付けるべき課題があまりにも多すぎる。
しかも今年はバスクラが一人きり。今までのコンクールではなんだかんだ先輩か後輩がいてくれたのに、今回初めてたった一本で舞台に乗ることになってしまった。心細い上に責任も重い。
寝ても醒めても吹奏楽のことばかりが脳内を占める。ここ最近は何度も練習での録音を聴いていたし、プロの演奏もカセットテープなら擦り切れてしまうほど聴きまくっていた。
何よりも、この程度の技術で最後のコンクールを迎えていいのか、という思いが強い。なんのために9年も吹奏楽をやってるんだ、一人なら尚更うまくないといけないじゃないかと。
正直、慢心していた。バスクラなんてどうせ目立たないし、私ならこの程度でいいだろ、とどこかで思っていた。ちっともよくなかった。
全国常連校のコンクールメンバーともなると、周りのレベルは相当高い。新しく入ってきた1年生も強豪校出身が多くて、いわゆる“ガチ勢”の集団。このままでは埋もれてしまうと思ったし、実際私は埋もれていた。
本気の人たちの目はいつも静かに燃え盛っていて、輝いている。音にもパワーがある。私もああなりたい、というか、ああならないとついていけない。ようやく自分の立たされている土俵の高さを思い知った。
こんなにも差し迫ってうまくなりたいと感じたのは、いつぶりだろう。
アンサンブルコンテストのために毎日楽器を家に持ち帰っては練習した中学時代。仲間と何度も話し合いや練習を重ねて悲願の金賞を勝ち取った高校時代。あの頃の私も、とにかくうまくなりたくて仕方がなかった。
これが最後の夏になるかもしれないから。周りのレベルが高いから。
いやそうじゃない、何より私が私を納得させたいから、私はうまくならないといけないんだ。
昨日の練習の録音を聞いた。自分の音の粗さがあまりにもひどくて頭を抱えた。この音のまま吹奏楽人生を終えるのは、嫌だ。どうせなら、自分の好きな音で演奏を彩りたい。きっと、いや絶対に、そこからしか見えない景色があるはずだから。
音楽に本気になったとき、ああ、私青春してるなと思う。吹奏楽くらいでしか青春してこれなかった人生だから、こうなったら最後までめいっぱい突っ走ってやりたい。これぞ私の夏。吹奏楽の夏が、始まる。
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