転職2.0
アカデミア仲間の村上臣さんが書籍を出したとのことで、早速読んでみました!
新時代には、「正しい転職の価値観」と「正しい転職の方法論」を知れば、これまでの経歴に関係なく誰もが、我慢の必要ない望み通りのキャリアを手にすることができる。
転職2.0とは?
転職1.0
目的 1回の転職の成功(転職=目的)
行動 情報収集
考え方 スキル思考
価値基準 会社で仕事を選ぶ
人間関係 人脈づくり(狭く深く)
転職2.0
目的 自己の市場価値最大化(転職=手段)
行動 タグ付けと発信
考え方 ポジション思考
価値基準 シナジーで仕事を選ぶ
人間関係 ネットワークづくり(広くゆるく)
社会の寿命よりも個人の労働寿命の方が長くなり、人が職業人生において何度も転職を経験するのが当たり前になる時代。「自分株式会社の価値総額の最大化」であり、転職は手段と捉え直すべき。
転職1.0は、間接情報を得ることだったが、転職2.0は、タグ付けと発信。タグ付けは市場価値を高めるための軸となる。
転職2.0は、スキル思考に変わる考え方が、ポジション思考。ポジション思考は、目指すポジション、役割を明確化すること。例えば、エンジニアであれば、PM(プロダクトマネージャー)、リードエンジニアなど。ポジション=役職ではない。
ネットワークとは、人脈よりももっと広く浅い、友達の友達の友達くらいまで含まれる緩やかなつながり。深くは知らないけどお互い何となく興味があるなど。
企業がキャリア採用で利用している手段・サービスのトップは、人材紹介(73%)、2位は転職サイト(71%)。リファラル採用は41%だが、大企業は52%と半数を超えている。ダイレクトソーシングも20%の利用がある。
今までは、辞めてもいくらでも代わりがいるという理屈で社員にハードな働き方を強いるマネジメントが適用していた。今後は、働きやすい環境を作らなければ企業の継続が危ぶまれる。
「やりたいこと」を無理矢理見つけ出すのではなく、今やっている仕事の中で、ワクワクすること、楽しさを感じられることは何かという棚卸しから始めること。
自分のタグを活かせる仕事 = 充実できる楽しい仕事
自分のタグを明らかにする中で、人は自分の価値に気づく。自分の価値を突き詰めていけば、ステップアップもできるし、大きな仕事もできるようになる。
コンピテンシーは、「ハイパフォーマーに共通する行動特性」などと訳される。数値にしにくいけど確実に認められる特性のこと。その人自身が持っている能力であり、社会の人事評価などでも重視されている要素。
面接官から受ける質問は、タグ付けの大きなヒント、例えば、「あなたの経歴のこの部分についてもう少し詳しく聞かせてください」と質問された場合、そのポイントが肝になる。採用側はタグ付けとして認知している。
発信の目的は、自分自身を知ってもらうこと。人は、よく知らない人の意見をあまり聞こうとはしない。自分の意見を主張したいなら、まずは十分な自己開示を行っておく必要がある。
ABC人材
AI、ビッグデータ、クラウドに精通している人材紹介。ホットな領域の中には、様々なポジションが存在する。
営業のスキルとエンジニアのスキルを両方持っているような人は、市場において非常にレア。非常に好待遇で迎え入れられる状況がある。
伸びるスタートアップを探すときは、ベンチャーキャピタルのポートフォリオ一覧を見て、会社をピックアップするのは最も効率的。1回はビジネスモデルを精査した上で、出資が行われているため、成功確率が高いという予測が成り立つ。
プログラミング思考が生産性を劇的に高める。高度な作業についてもコンピュータを利用して解決できるようになれば、現場の社員には、どの作業をコンピュータに任せるべきかを肌感覚で見極める能力が求められるようになる。
転職エージェントは、人を動かして転職させることで利益を得ている。不足しているポジションへとどんどん転職してもらった方がありがたい。
業界選びは、業界を固定しても良い。IT系のプロダクトマネージャーは、エンジニアのバックグラウンドを持ち、ものづくりの原理を知っている人の方がパフォーマンスを発揮しやすいという理解が共通認識となっている。
謙虚になりすぎず自分の成果を主張することを意識する。このプロジェクトでは、◯◯の立場で参加し、□□のような達成をしました。その時の経験が、今の△△という仕事に役立っています。
企業ほ、有価証券報告書を通じて、投資家向けに自社の強み・弱みを赤裸々にディスクローズしている。業界1位の会社の有価証券報告書のサマリーだけ読むのが良い。
個人が何らかの目標を持ち、目標を達成するための場として会社を利用する。手持ちのタグを活かして成果を出すと同時に、新しいタグを獲得する。会社はパフォーマンスを発揮してくれるならどんどん会社を利用してくれて構わない。
プロダクトマーケットフィット(PMF)
文字通りプロダクトがマーケットに適合している状態のこと。自分がそのプロダクトが便利だと思い、同じように感じる人が周りにいれば、プロダクトが市場に受け入れられる。成長する可能性が高い。
創業初期、社員50人規模なら、働く人のポジションは流動的。自分自身で仕事を作り出し、どんな仕事にも対応する。
社員が100人以上は、ビジョンやミッション、就業に関わるルールが厳格に定められるなど、会社が会社らしくなる時期。
300人以上だと、上場しているベンチャーも出てきている。普通の中小企業と同じような環境で働くことになる。
リンクトインから離れる人は辞める・転職すると表現せず、ネクストプレイを選択したという表現を使う。あくまで新しい経験や機会を得るための選択肢であるという認識。
笑っている人が多い、笑い声がよく聞こえる会社は、風通しがよく生産性が高い傾向にある。プレッシャーの大きい環境では、人の生産性は上がらない。
アメリカの労働者の平均勤続年数は最も短く4.2年、イギリス8.0年、ドイツ10.7年、フランス11.4年、日本は11.9年。大卒で65年まで働くと12年刻みで転職すれば、約3.6回転職する。
学生は多少失礼があっても多めに見てもらえる強みがある。学生時代に就職に苦労した人も多いので、できるだけ力になりたいという気持ちも持っている。
10年をキャリアの節目に考える。ITの世界でのテクノロジーの大きなトレンドは10〜12年周期で訪れる。この周期にうまく乗れば、常に成長分野で仕事をすることができる。
仕事は厳しくて辛いものという思い込み。自分が我慢してるのだから周りも我慢するのが当然は、ちょっと疑問。労働=時間、アウトプットは時間に比例するという思い込み。
ジョブ型雇用とは、職務を明確にして、その職務を遂行できる人材を採用する雇用形態。中途入社で行われているように、営業職、経理職などの職務を特定して採用する方法。
仕事とは、突き詰めれば需要と供給の関係で成り立つもの。自分が、発揮できる能力と、顧客のニーズが合致すれば、どんな仕事だって成立する。お金を得ることが可能。
今後のキャリア形成に関して、従来の概念ではなく、新しい思考としてとても参考になり、今後どのような働き方をするのか、具体的なケースも書かれていて、オススメの1冊です。