書道パフォーマンスができるまで①段取り編【武蔵美芸術祭】
こんにちは、知風代表の基礎デザイン学科2年のカトウです。
今日は先日の芸術祭で行ったパフォーマンスの練習過程、なぜやることになり、0からどうやって練習していったかを備忘録も兼ねて記録したいと思います!!
パフォーマンスをやるかどうか
今回は実行委員である「芸術祭 執行部」の方から依頼される形でした。今年のテーマが「まうじゃないか」という江戸時代の一揆「ええじゃないか」を元にしたものでした。その和風なテーマに書道のイメージがぴったりだったためです。これは本当にたまたま。運ですね。ステージなどのパフォーマンスを行う場所を執行部の方で用意していただきました。当初、美術館前の外広場などを提示されましたが、最終的には体育館ステージとなりました。
最初に依頼をいただいた5月中旬の段階で執行部の方からこのような希望がありました。
執行部の方にも現地開催を経験した人がおらず、かなり手探りな話し合いでした。希望もかなりフワッとしており、こちらである程度決めて「こうしたい・こうできるか?」など要望を伝えるが必要があると感じました。また予算に関しては「基本的に消耗品しかだせない、それもいくらまで出せるかわからない」とのこと。この段階では執行部にも知風にも「前例」がなく、話が進んでいきませんでした。
僕としては「パフォーマンスは厳しいのでは?」というのがこのときの正直な気持ちです。
というのも今年度は活動計画の記事にも書いた通り、「書道を取り入れた作品制作」を軸にすることでした。それで一通り練習計画も組みました。
また(こっちの方が重要なのですが)人の集まりが悪く(みんなの予定が合わない)代表の加藤しか全員の顔と名前が一致してないというヤバい状況でした。
展示は各々の制作ですが、パフォーマンスは全員で仕上げるもの
全員で取り組むための雰囲気を作り上げられるか
また僕自身パフォーマンス経験がほぼゼロでパフォーマンスのことを何も知らないということも。
この依頼をいただいた時点の懸念点をまとめると
文章だけみると、ただの根性なしに見えますが「依頼」という形である以上、一定の成果を求められます。で、その成果は自分一人で頑張ればどうにかなるものではない、だから自分にしては珍しく悩んだかなと思いますね。
では、なぜやることにしたか?というと理由は単純。1つ上の先輩がいたから笑
4月のビラ配りで入部(いや入会か)した3年のクワザキさん。彼女は執行部OGでもあり、執行部の依頼もクワザキさんを通してのものでした。このときに「1人ではなく、2人でどうにかメンバーをパフォーマンスに持っていこう」そう後押しされました。神、いや女神ですね。
それでメンバーの日程をなんとか合わせて、話し合いをしました。
「みんなやらない?」という提案ではなく「やろう!」と強気で伝えて、やるためには課題がある。だからその課題をみんなでクリアしよう!みたいな感じです。
パフォーマンス練習見学
パフォーマンスをやることは決まりました。それで、まず最初にあがった課題は
「どうやって練習するか」
ということ。知風のメンバーの中にも高校時代、書道パフォーマンスに取り組んでいた人はいます。ですが高校と違い、練習頻度・場所なども含め、どのようにするのか、また未経験者のメンバーがどんな練習をするのかのイメージをはっきりさせる必要があると感じました。
そのため他の書道サークルのパフォーマンス練習を見学をすることにしました。
こちらの見学したいという要望に快く対応してくださったのが「早稲田大学書道パフォーマンスサークル漣」さん!6月中旬ごろに見学に伺いました!
など、こちらの質問にも丁寧に回答していただきました。もちろん練習も見学させて頂きました。練習イメージも明確になりメンバーの士気も上がりました。本当にありがとうございます!!!
夏休み練習
と、6月に見学に行き、気づけば前期期末。メンバー全員課題、さらにはオープンキャンパス準備に追われ、ほとんど練習ができないまま夏休みへ。
夏休みの日程を頑張って合わせ、約2週間練習期間を設けました。
前半
7月末に僕とクワザキがコロナになってしまい丁度8/5まで自宅待機に。
そのせいで前半はzoomでパフォーマンスの文字・曲を決めました。
曲に関しては
ポピュラーな邦楽orサントラ系のBGM
のどちらかで検討し、最終的にサントラを使うことに。
パフォーマンスは2曲構成に。
1曲目:鎌倉殿の13人 メインテーマ【大阪桐蔭高校吹奏楽部】
2曲目:いだてん メインテーマ歓声入りver.
2,3年はオンライン期間があったためzoom会議慣れしてますが、1年生は慣れておらず、馴染みない先輩たちがいるzoomで気まずい思いさせてしまいました。本当に申し訳なかったです。
前半はこんな感じでzoom会議でデザイン・曲決めで終わりました。
いま思うと結果から、つまり「どういう動きをしたい」とかそういう風に決めた方がよかったかなと。ただ1回もやったことないからこう決めるしかないか。
後半
後半からはいよいよ対面で!
6月からあまり練習できておらず、人数が集まってできたのは久しぶりでしたね。というか、こんな人数で活動したのは設立以来、初めてですね。
決めたデザイン・曲をもとに練習をしました。
用紙は予算の都合で新聞紙を貼り合わせたもの。
鏡がないため、動きを見る際は録画を見ていました。
この段階ではパフォーマンス用の墨もなかったので、墨汁を薄めて使用してました。
6日間という大変短い期間でした。パフォーマンスがここまで形なったことも大きな成果ではありますが、それよりもメンバー同士の距離が縮まったことがなりより嬉しかったです。
大筆も購入。
詳しくは②の予算編でお話しします。
名前は「モーリー壱号」です!
後期練習
夏休みも明けると武蔵美は後期の授業が始まります。
芸術祭までは約2ヶ月です。
美大生は授業が特殊です。だいたいの授業が「講評」といい、先生からコメントをもらい作品を評価してもらいます。そしてそのコメントを元に授業時間外で制作することが多いです。その制作の合間を縫って練習しました。10月からは昼休みに動き、金曜日と土曜日の週2回、夕方から約3時間練習しました。
この段階で装飾も考え始めました。
・霧吹き
・花柄スタンプ
の大きく分けてこの2つで検討。絵の具はデザイン系ならお馴染みのアクリルガッシュを使用しました。コーラルレッドとか受験から余りますよね(美大生あるあるのはず)
実寸大でかつしっかり書く練習をしたいのでクラフト紙を導入。
大きい紙だとクラフト紙が一番安いです。
そしてついに本番用紙を使っての練習。
筆モップさんの超ロング用紙を使わせていただきました。
耐久性があることはもちろん、ある程度の吸水性があるので持ち上げた時に墨垂れがおきづらく非常に使いやすかったです。
小物準備
後期の練習と並行していくつか必要なものも制作していました。
Tシャツ
せっかくなのでTシャツを作りました。
ユニクロの1着500円のものにシルクスクリーンで。
「舞」の文字をいくつか書いてそこからみんなに選んでもらいました
ハンコ
篆刻を真似て篆書風に1年生に作ってもらいました。
カッターで怪我しないように軍手してるの偉い。
衣装
腰元のグラデーション布や頭のかわいい鉢巻など。
ここらへんの「かわいい」ものたちは女子にやってもらいました。
「かわいい」は最強だと思います。
腰につけていたグラデーション布等は「トウキョウジョウ」様の物を使用させていただきました。初日にはご来場までいただきました。ありがとうございます!
ポスター
リハーサル
いよいよ準備期間。本番までは1週間を切りました。
体育館にもステージが組まれ音響なども使いリハしました。
著作権の関係で映像をお見せできないのが残念です。
最後に紙を上げた時、執行部の方々が拍手してくれたのが嬉しかったですね。
本番
冒頭にも述べましたが芸術祭の3日間の出演依頼だったため、毎日パフォーマンスをしました。
実は初日にトラブルが…
最後に紙を持ち上げた際に「舞」の部分が破れてしまいました…
今までの練習で一回も破れなかったのに….
それ以外は大きなトラブルなく終えれましたね!
芸術祭の当日の様子を伝える映像では3日目に写していただきました!
また写真の撮影は1年生の吉川さんにカメラマンを依頼しました
お互い時間がなく、かなり適当な打ち合わせでしたが本当に綺麗な写真を撮っていただきました。
彼女の撮る写真の空気感が好きです。
彼女のインスタはとて見応えがあるのでぜひ覗いてみてください!
同じ美大生として写真と真正面から向き合う姿勢は見習いたいです…
https://www.instagram.com/kikkawarei_gj/
実はその他にもパフォーマンス作品・各々の個人作品を12号館の地下展示室に展示していました。
手が回らずSNSで一切告知をしていませんでしたが食堂の横という立地のおかげで多くのお客様に見ていただけました。ご高覧いただいたみなさま本当にありがとうございます。
最後に
知風を1人で作った頃は、誰からも相手にされませんでした。特に実績がない。依頼をいただきチャンスがあっても、やりとりの途中で平気でドタキャンされたり…
しかしここまで形にできたのも何より周りの方々の支え、特にメンバーの協力があってのことです。1人で始めたからこそ1人の無力さは誰よりも実感しているつもりです。ここから知風がどうなっていくかは分かりませんが、今回のパフォーマンスがゴールではなく、サークルとしてのスタートラインだと思います。
僕としては「サークル=楽しくある」必要があると思ってます。もしただ書道したいだけなら、自分でやってしまった方が早いですからね。さっきあるメンバーと天津飯を食べていたのですが、「楽しかった」と素直に言ってくれて嬉しかったです。「楽しかった」その一言だけで創設者冥利につきます。サークルを作るという目的を1年半かけてようやく達成できたのかもしれませんね。
こんなことを書いていると老いを感じるのでこのくらいにしておきます。
後編の予算編ですがカトウの都合上、12月末の公開を予定しております。しばしお待ちを。
最後までお読みいただきありがとうございます。