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思い出の味①新宿5丁目にあった「イドンカルビ」のソルロンタン

もう15・6年くらい前になるが、そのころ、よく通ったお店が、新宿の靖国通りから東京医大通りに入ったところにあった「イドンカルビ」である。

店内のインテリアの雰囲気も、いかにも家族経営といった感じの店員さんも、気前よく並べられる副菜のお皿の多さも、まるでソウルに行ったみたいだった。わたしは、そこで、はじめて「ソルロンタン」なるものを食べてすっかりはまってしまったのだった。

特に、ランチはメニューが多いのにコスパも良くて、友達にも教えてあげなくちゃと思っていたのだが・・・結局、その機会は訪れなかった。

当時、わたしの勤め先が「新宿」だったから、友人には、新宿のことなら任せてとばかり、新宿御苑伊勢丹デパート、もうそのころは、コリアンタウンで有名になっていた新大久保界隈なんかを、案内してまわったりして、ちょっとしたツアーガイド気分だったのだ。

しかし、残念なことに、この「イドンカルビ」は、韓流ファンの友達からは、ご当地からはちょっと遠いし、新宿御苑でゆっくりしたい友達からは、ランチのコンセプトには合わないし、伊勢丹を見たなら、高島屋もというコースからは外れてしまうというちょっと不便な場所にあった。

だから、もっぱら職場の人とランチしたり、残業の後に一杯飲んだりしたときに利用したのだが、それでも随分と通ったものだと思う。

そして、このお店は、いつもお客でいっぱいで結構繁盛していたようだったが、いつの頃か、休業となってしまって、しばらく再開した様子もなく、仕事でそちらのほうに行くこともなくなり、それっきりになってしまった。
もう、あの「イドンカルビ」は、なくなってしまったのだろうか。

そんなわけで、韓国料理のお店で、「ソルロンタン」を頼む時、ときどきこの「イドンカルビ」のことを思い出してしまう。
そして、同時に、当時の仕事仲間のことまで思い出すのだ。

それは、ちょっと新宿まで遊びに来て、ランチを楽しんでる友人のウキウキした感じとは違って、仕事場としての新宿で、いろいろと愚痴を言って、ランチしていた友人たちのちょっと深刻な表情を思い出すのた。
それでも、食べ終わる頃には、元気が出て、すっきりとした表情になっていたのを思い出すのだ。
韓国料理は、元気が出るからクセになるのかもしれないと思う。

わたしにとって、「ソルロンタン」は、ちょっと疲れた時や癒されたい時の料理なのだ。


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松幸 けい
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