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華流ドラマ感想「明蘭~才媛の春」の原題の「知否知否応是緑肥紅痩」の意味について考えた(1)
わたしは、youtubeの「李姉妹ch」をチャンネル登録している。
中国語の勉強のために見始めたのだが、最近では中国の文化情報についてもよく取り上げていて、これもとても面白い。
その中の、エンタメ情報で、このドラマも取り上げていて、面白かったというので、さっそく見てみた。全73話という長さなので、全話見たわけではないが、さすが、李姉妹の言うだけあって、とても面白かった。
ただ、ネット上では、日本語タイトルが、原題のタイトルとあまりに違っているので、話題になっているようだ。
「明蘭~才媛の春~」が、日本語タイトルのウォッチャーたちに新たな話題を提供している。中国の人気女優チャオ・リーイン(趙麗穎)が主演し、宋代を舞台に、母を失った名家の側室の娘・明蘭(めいらん)が知恵と才覚で困難を乗り越えてゆく姿を描くこの作品。中国でのタイトルは「知否?知否?應是緑肥紅痩」といい、宋の女流詩人・李清照(り・せいしょう)の詩の一節から取られている
「知否」は「知っていますか?」、「應是緑肥紅痩」は「きっと緑の葉は茂り、花は散ったことだろう」の意味となるこのタイトルは、ヒロインの成長とともに、季節は世のあらゆる出来事をよそに、時季が来れば移っていくことを表現していると思われる。
この格調高いタイトルが「明蘭~才媛の春~」となったことで、中国版ツイッター上では再び、「日本語タイトルの破壊力がすごい」と話題に。「確かに的を得ているけれど…」「あまりに直接で乱暴すぎる」と困惑する人や、「あの美しいタイトルも含めての良作なのに」と惜しむ声があがっている。
では、宋代で「千古にして第一の才女」といわれる女流詞人・李清照の作「如夢令・昨夜雨疏風驟」とはどんな詩なのだろうか。
昨夜雨疏風驟,濃睡不消殘酒。
試問卷簾人,卻道海棠依舊。
知否,知否 應是綠肥紅瘦。
昨夜は雨は疎(まば)らだったが、
風が急に吹き出した
深く眠れど残り酒は消えず
御簾を巻き上げて聞いても
海棠の花は咲いたままという
知るや知らぬや?
花は散り残るは茂る葉だけということを。
「知否」とは「ご存じか」という疑問形、「応是」とは「~であるべき」の意で、問題の「緑肥紅痩」とは、緑は生い茂る緑葉のことで、紅は花を指している。つまり、この一句で「時はすでに緑葉が生い茂、花が散る春の時節に至っていることをご存知ですか」という意味になる。
なるほど、確かに格調高い漢詩の世界を垣間見た感じがする。
でも、ドラマの内容を見ると、「ヒロインの成長とともに、季節は世のあらゆる出来事をよそに、時季が来れば移っていく」という意味でタイトルにしたのではないと私には思える。
このドラマ、ストーリーは、一見夫婦愛を描いた良妻賢母ものだけど、テーマは「激動の時代の家族関係~フェミニズムの視点からみる~」だと思う。その骨太のテーマに合わせて、李清照の「如夢令」をもってきたのではないだろうか。この方も、先駆的なフェミニスト的な女流詞人ですものね。
だから、「季節は世のあらゆる出来事をよそに、時季が来れば移っていく」という季節とは、時代の意識のことをいっているのだと思う。
変わりゆく女性の意識を反映して文化や芸能も、新しいものになっていく。ドラマの作り手にもその意識がなければ、面白いドラマは作れない。
グングンと実力をつけてくる中国ドラマの進化は恐るべしである。
タイトルだけでこんなに長くなってしまったので、ドラマレビューは、またの機会とする。
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