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わたしが歳をとったからか「セックス・アンド・ザ・シティ新章」は面白かった

11年ぶりに続編が制作されて話題となった「SATC新章」
期待されていた割には、その評判は振るわなかったようだ。
かつてのような、イケイケドンドンのエネルギーを感じられなかったからと言われていたが・・・。

しかし、わたしには、これが結構面白かった。
わたしも、彼女たちと同じように歳をとったからだろうか。
たぶん、そうだろうと思う。このしみじみとしたヒューマンドラマテイストが、今のわたしには良かったんだと思う。

もともと、ドラマの題名からして、刺激的な深夜放送のドラマだったらしいが、女性たちの圧倒的な支持を得て、ここまで続いてきたドラマだった。
でも、主人公のキャリーだって歳をとるのだ。歳を重ねるにつれて、いろんなものに別れを告げ、そして、いろんなものから別れを告げられる。
一緒に歳をとってきた視聴者には、そこがまたいいのだった。

(あらすじ)ニューヨークで久しぶりのブランチに集合したキャリー、ミランダ、シャーロット。話題は、キャリーが出演中のポッドキャスト番組、ミランダがティーンエイジャーの息子の部屋でコンドームを踏んでしまったこと、シャーロットの憧れのママ友、髪の毛の色、そして疎遠になってしまったサマンサのこと…。悩みが変わっても、話ができる友達が傍にいるのは変わらない。新たな挑戦、出会いと別れ。いくつになっても人生は驚きの連続。50代になって新たなライフステージを歩む彼女たちの物語が始まるー。

このドラマのみどころは、なんといっても、洒落た会話とおっしゃれなファッションだ。そして、それには、大きな意味があるのだ。

主人公キャリーはニューヨークに住むコラムニスト。コラムでとり上げる話題もその表現もウイットに富んでいる。野心満々なキャリアウーマンとその親友たちが繰り広げる恋愛模様?も、またしかりだ。

結局、この長いシーズンを通して、キャリーは、数々の恋模様を繰り広げて、最終的には結婚こそしたものの、子どもを産むという選択はしなかった。ここが、女性たちの興味を誘い、共感を呼ぶこのドラマの大きなキモになっていると思う。そんなドラマって、他にないから。

今までのSATCの全シーズンを見てきたわたしが思うに、子どもがいない、子どもを持たない選択をした彼女は、子育てに向けられたかもしれないエネルギーを、すべてファッションに注いできたのではないだろうか。
だから、キャリーのシューズコレクションはイメルダ夫人のような単に富の象徴ではない。”分身”のひとつなのだ。

しかし、新章では、キャリーも55歳となり、大きな転機が訪れる。
盟友サマンサとは絶縁状態のなか、夫のビックの突然の・・を、どう乗り越えていくのか、それがこのシーズンのテーマになっている。
この結構重いと言えば、重いテーマを、そこはSATC風に、時代をウイットに富んで描いているのが、わたしには、とても面白かった。

老いの影がちらつき始める55歳
題名からして、女性の性を前面に押し出しつつ主張してきたこのドラマだが、その年齢の女性の友情ドラマとしてみると、なかなか感慨深い。
若いころから、性について語り合い、性格もよく知りぬいて、相手の強さも弱さも受け入れて、続けてきた人間関係は、とても貴重なものだ。
そこには、経済的利害関係も、宗教も思想も関係ない。ただ、友である彼女がいて、わたしがいる。もちろん、それが永遠に続くという確証もないけれども、だからこそ、今を大切にしなければと思わせてくれるドラマだった。


※過去note記事で、「SATC」についても、書いています。よろしかったら、こちらもどうぞ。

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松幸 けい
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