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介護施設ですぐ実践できる「生活リハビリ」7つの方法
内容: テキスト約2万字 + 解説動画65分 + なんでも質問券
【自己紹介】
介護現場の理学療法士 松本健史(まつもとたけふみ)
1972年大阪生まれ
関西大学法学部政治学科卒業
九州リハビリテーション大学校卒業
佛教大学大学院社会福祉学修士課程修了
理学療法士/ 社会福祉学修士 / 介護支援専門員 / Youtuber
2000年熊本機能病院勤務
2004年NPO法人丹後福祉応援団勤務 地域リハビリテーションに従事する
2014年合同会社松本リハビリ研究所を設立
全国の介護施設でリハビリアドバイスをおこなう。日課でできる生活リハビリ「がんばらないリハビリ介護」を実践。介護現場ですぐに役立つと好評を得る。年間80回を越える従事者向け研修会の講師も務める。
2019年YouTubeチャンネル「がんばらないリハビリ介護」配信開始
「転倒予防のすべてがわかる本」(講談社)など共著含7冊出版
趣味:マラソン 読書 映画鑑賞 ジャンルはノンフィクション系
※このnoteの内容と連動し、より深く解説した読者限定動画
がご覧いただけます。ぜひ有効に利用し、理解を深めてくださいね。
テキストご購入でもれなく観れます
動画版【介護施設ですぐ実践できる「生活リハビリ」7つの方法 】65分
【このnoteを読むメリット】
本書はこんな人に役立ちます
・生活リハビリを実施したいが何をしたらいいかわからない
(主に介護施設のリーダー)
・元気になれる理にかなった介護を学び、生活リハビリの達人
になりたい(おもに新人~中堅介護職)
・とにかく楽しく介護がしたい(おもに在宅介護者)
・良いケアをして経営もよくしたい(介護事業所の経営者・管理者)
人が辞めない職場づくり、経営にも効果アリ!
介護はもともと楽しいもの、元気でいるはずの人が重度化して寝たきりになってしまう、
こういっちゃ悪いですが「お世話ばっかりの介護」は楽しくないと思います。
「私・・・こんなことをするために、介護の世界に入ったんじゃない!」と自分のイメージしていた仕事とかけ離れていて、嘆いている職員さんにもよくお会いします。
また経営陣は職員の離職が増え、経営の危機に直面しているところも多いのではないでしょうか?「うちの施設になにが足りないのか?」ともう一度見つめ直していただきたいのです。
今回紹介する「生活リハビリの7つの方法」を実践すれば、利用者さんは見違える程、元気になるでしょう。
そして不思議なもので、職員さんも活気づきます。やはり利用者さんの笑顔が増え、元気になる姿は周りも元気にするものなのです。
介護職員は「ああ、こんな仕事がしたかった~」と思える場面に出会えるはずです。
職員が活気づくとその施設は全体がいきいきするものです。いま問題視されている介護の人手不足は職員の退職が「負の連鎖」となっています。生活リハビリは介護を楽しくやりがいのある仕事に変えていく力があります。
だから、人が辞めない職場づくり(介護職の離職率を低下)の実践にもなるのです。
人がやめないやりがいのある職場には「働きたい」と求職者(休職者じゃないです!)も増えます。
「ここで働きたい」といわれる人気の職場になると、職員はプライドを持って働けます。人が辞めにくく、求人にも苦労しないでしょう。
噂が噂を呼び、地域でトップの人気施設となれるはずです。
生活リハビリはこんなにいいことづくめなんです!
・・・と言っても「ほんとかな?」と半信半疑のかたもいるでしょう?
大丈夫です。いまからお伝えする7つの方法を知り、実践することで「生活リハビリの達人」になって
「あ、ほんまや」と合点いただけると思いますよ。
それでははじめましょう。
はじめに 生活リハビリとは
介護施設や在宅で「生活リハビリ」という言葉を最近よく聞くようになりました。
「退院後は生活リハビリしていきましょうね」なんて皆さんも言ったり聞いたりしたことがあるのではないでしょうか?
しかし無理してリハビリ訓練を続けている人もみかけます。生活の楽しみをそっちのけにしてリハビリ訓練を続けている人を私は
「リハビリスンドラン症候群」と呼んでいます。
もちろん身体機能を高めようと努力されることは素晴らしいことです。
私も応援します。
しかし周囲の人が
「そのままのアナタじゃダメだ」
とその人を訓練に追い込んでいるケースはないでしょうか?
もしそうなら、周りの責任が大きいと私は思います。
本書の「生活リハビリ」は楽しみを棚上げにするリハビリ訓練
ではありません。
介護施設の日課の中でできる簡単なものだけど、実はその人その人に合ったオーダーメイドの生活づくりを考えるところから始まります。
ですから一緒に過ごす介護の専門職は重要です。生活目線で関わりながら、元気があふれる過ごし方やリハビリメニューを考案していく役割を担っていただくからです。
ここに(おおげさにいうと)生活リハビリの神髄があります。
利用者と一緒に過ごす専門職じゃないと見逃してしまう
「元気の種(タネ)」が実はあちらこちらに落ちています。
介護に携わる職員の皆さんが、学生時代に勉強したけど、
「実戦では使えない」と無用の長物化している
生理学・解剖学・運動学
といった専門的知識の中にも元気の種があります。
あなどるなかれ!
これらの埃をかぶった知識を総動員して関わると人は見違える程元気になるものなのです。
私は「生活リハビリとはなんですか?」と聞かれたら、
「人が元気になる種をみつけ、花を咲かせること」と答えます。
さぁ、今から一緒に元気の種を見つけにいきましょう!
介護施設ですぐ実践できる「生活リハビリ」7つの方法
①テーブルと椅子を調整しよう
⑴テーブルを調整する
高齢者施設のお年寄りはたいてい長時間、イスあるいは車イスに座って過ごされています。だから座位での環境を整えていくことは最も大切なことのひとつなのです。
座っておこなうことを考えてみましょう
食事・人との会話・趣味活動・排泄・入浴・・・。
こんなに座位で過ごす時間は長いわりにあまり環境が整えられていません。
写真:ある施設の食事風景
食事中の光景なんですが、ちょっと食べにくそうでした。
そして・・・爆睡してる人もいます。
寝るにはいい高さ!ということは食べるにはちょっと高いのでは・・・。
メジャーで測ってみたら70㎝。
「チョット高くない?」と聞くと
職員さんは「そうですかね?」とあまり気にしていない様子。
そうですよね。我々普通に動作ができる人にとっては、テーブルの高さはそんなに気にしなくていいものなのです。既製品の高さは通常70㎝です。これが小柄なおばあさんや動作が出にくい方には少し高すぎるのです。
小柄なおばあさんが集まると頭しか見えず「生首陳列台」状態です。
問題:ではテーブルの高さは何センチがいいでしょうか?
答え:その人その人で違う!
目安があります。おへその高さくらいです。
だから高齢者施設でテーブルはやや低く
65㎝ぐらい
を標準にした方がいいですね。
環境を整えようと頑張っている施設ではだいたいテーブルが低いです。
58~65㎝くらいのテーブルを用意して体格や動作に合わせて席を決めています(もちろん70㎝のテーブルももあっていい。
大柄な方や動作に問題のない方は普通に使えます)。
⑵上からご飯がくると誤嚥しやすい
「さて、どれから食べようか?」
と見下ろして食べるからご飯は美味しいのです。
ご飯から食べる?汁物?おかず?
そうやって自分で選択できる生活は「主体性」があるといえます。
介護を受けている高齢者は主体性を失ないやすいのです。
ぜひ「受け身」ではなく「自発」になれるよう意識してください。
この「主体性」が発揮できる環境がなにより大事ですね。
こういうとわかりやすいかもしれません。
「ラーメンが食べやすい高さ」です。
ラーメンは麺を箸で持ち上げ、ふうふうと冷ましながら食べますね。食事の際、高すぎるテーブルにしないように、イメージをつかんでおいてくださいね。
写真:テーブルの脚を切った施設の写真
写真では上から見下ろしてご飯を食べていますね。
この施設はテーブルの脚を切り、65㎝にしました。
食べ物を噛んで飲み込むことを「嚥下」といいます。人が食べる時、咀嚼して、口の中でお団子状の食塊を形成し、飲み下すという段階があります。
人間はややうつむき加減で食べるように生理学的にできています。もし顎が上がった状態で、口に物をいれると喉に流れ込んでしまい、誤嚥してしまう可能性もあります。嚥下しやすいよう、顔の下から食べ物がくる、という環境をぜひ意識してみてください。
⑶イスを調整する
イスは生活の中でとても重要です。たいていの利用者は一日の大半を座って過ごします。またイスは座面と背もたれで構成されており、直接体に触れるものでもあります。
高齢者の生活環境を考えるうえで大きな要素を占めます。
問題:みなさんが座っている椅子は何センチぐらいでしょうか?
あまりこれも考えたことがない方が多いと思います。
答え:40㎝ー42㎝です
高齢者には小柄な方も多いため、イスに座ると足が地面につかずブラブラしていることも多いです。それでは姿勢が安定しません。足底が地面につく高さにします。
小柄な方はイスの高さは36㎝ー38㎝くらいで試してみてください。
適したイスの高さの目安として、
踵から腓骨頭までの距離を計測してみるとよいでしょう。
ぜひ腓骨頭の高さを調べてみてください。
図:イスの高さの目安は腓骨頭の高さ
またイスからの立ち上がり動作もチェックポイントです。
ですから座りやすいという要件とともに
立ち上がりやすい要件にも配慮が必要です。
大柄な男性なら42㎝、または45㎝など高めの椅子を
用意するとよいでしょう。
いろんな体格の人に合わせられるよう3種類(38・40・42㎝)くらいのイスを用意し、色分けして一目でわかるようにしておくとよいでしょう。
⑷生活リハビリの基本「一人一人に適切な環境を用意する」
大人数が暮らす施設などでは画一的な環境になりがちですが、
「一人一人に適切な環境を整えていくこと」
が生活リハビリの基本となります。
これはイス・テーブルに限りません。
ベッド、車いす、トイレにも人は座りますね。
そういった生活のあらゆる場面で環境を整える視点を持ってくださいね。
ベッドは電動で上下し、デジタル表示もありますね。その数値をみながら、一人一人の立ちやすい高さに設定してみてください。
トイレは45㎝くらいの高い便座をよくみかけます。足がつかなければ足台を用意しましょう。いままで足がぶらぶらしていた人は、台で踏ん張ると排泄がしやすくなります。
図:トイレが高い場合は台を用意しよう
⑸ブリコラージュしよう!
移乗しやすい踏ん張りやすいトイレの福祉用具ファンレストテーブルを紹介します。移乗動作や踏ん張る姿勢の保持に使え、必要のない時は折りたためるので邪魔になりません。
このテーブルに限らず、いろんな福祉用具を知り、必要な人に用意していくことが大切です。
予算が1台分しか出なかったこの施設では、小学校の机をもらってきて
ファンレストテーブルと同じように使い始めました。すごいですね。
この例をお手本に、みなさんにお伝えしたい手法があります。
それはブリコラージュと呼ばれるものです。
ブリコラージュ:寄せ集めて自分でつくるという意味のフランス語です。
既製品の福祉用具などが購入できたら一番ですが、予算の都合などで、
そうもいかない場合もあると思います。
そんな時は・・・
似たものを用意してみましょう。
そういう創造性と機知を発揮して下さい。私のアドバイスしている施設では、お風呂を手づくりしてしまった職員さんもいます。
写真:入りやすいお風呂を設計し、手づくりした例
(ブロックと酒瓶ケース使用)
40㎝のシャワーイスと浴槽を半分床に埋め込んで並べると座位で入りやすいお風呂になります。
ま、これはこのまま使い続ける、というより、ここまでの熱意をみせ、
モノを買ってもらうための布石にするといいと思います(^^)/
しかし、環境を整える知識と腕が上がってくる。そして元気になっていただける人がどんどん増えていくんですね。
介護はサイエンスだけでは、くくれないアートの部分があります。
ですから私は生活リハビリの達人になる皆さんは、
「人を元気にするアーティスト」
だと思います。
みなさん明日から仕事を聞かれたら「私の仕事、ふふふ、アーティストです」とこたえてください(笑)。
※ブリコラージュ:生活リハビリの創始者三好春樹氏が「介護はブリコラージュである」と提唱し、雑誌「Bricolage」を主宰している。
介護施設ですぐ実践できる「生活リハビリ」7つの方法
まとめ
①テーブルと椅子を調整しよう
✅テーブル・イスの高さを測ってみよう
✅テーブルは65㎝を基本として、おへその高さに合わせよう
✅椅子は足底が地面につく高さ(目安は腓骨頭の高さ)
✅環境を手づくり(ブリコラージュ)して、
人を元気にするアーティストになろう
✅「受け身」から「自発」に変わる環境を考えよう
②姿勢を整えよう
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京都北部、天橋立を望むきれいな町で介護現場の理学療法士をしています。「がんばらないリハビリ介護」というYouTubeチャンネルを更新中。励みになりますのでサポートしていただけると嬉しいです。