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カミナシのヘルススコア、こう作りました!設計手順の詳細を大公開📖
皆様こんにちは!
カミナシでカスタマーサクセスチーム(以下、CSチーム)のマネージャーをやっている松下です!社内ではまどんぬとよばれてます。
今日は、現在カミナシのCSチームで運用している「ヘルススコア」について書いていけたらと思っています。
⭐この記事、こんな人におすすめ!
・SaaSのカスタマーサクセス担当の方々
・ヘルススコアを導入したい!という話になっているけど、実際どう進めたらいいか分からず悩んでいる
・ヘルススコアって聞いたことあるけど、具体的にどういうものなのか知りたい
私自身が設計をしようと思ったときに、あまり具体的な事例がなく正直困っていました。笑
なので、同じような境遇の方に届けばいいなーと思っています!
なぜヘルススコアを導入したのか
なぜ、ヘルススコアを導入しようという話が出たのかというと、CSチームが保有する案件数の増加により、以下の様な課題が色濃くなってきたからでした。
・CS1人あたりの案件数が増え、案件の状況をすべて把握するのが難しい
・チームの人数も増え、全体を見るマネージャーなどが一つ一つの案件を把握するのが難しい
案件を把握しきれないことにより、想像していなかった顧客からの解約要望があったり、気づいたら利用率が下がっているというようなことが起きてもおかしくない状況だと、危機感を覚えました。
こういったことを防ぐために、「ヘルススコア検討プロジェクト」が始動しました!
具体的にどう進めたのか
早速、手順からお伝えすると、大まかに以下のような6STEPの流れで進めました!
![](https://assets.st-note.com/img/1669190959515-C8qYPixrBN.png?width=1200)
具体と抽象を行き来することを意識しながら、慎重に進めました。6ステップの詳細について、まとめていきます✍
①目的を定める〜何をやりたいのかの認識を揃える〜
まず大前提として、「ヘルススコアをどうして導入したいのか」「ヘルススコアで具体的にどんなことをしたいのか」を議論をしました。
議論の結果、カミナシCSのヘルススコアは、
「チャーンを防止するためのヘルススコア」
と定義しました。
数値での指標をつくるときのアンチパターンとして、「期待して色々な要素を詰め込んだ結果、何をしたいのか分からなくなった」というのがあると思います。
アップセルにも使いたいという意見も出ましたが、いくつもの目的を持たせるのは危険だと判断し、まずは目的を一つに絞りました。
②指標/観点のブレスト〜顧客のフェーズにあわせてどんな観点が大切かを洗い出す〜
次に、お客様がカミナシを利用している中で「どんな状態であることが必要なのか」を、思いつく限りブレストしました。
まず、カミナシの顧客フェーズを、大まかに以下に定義しました。
1. 初期導入を行う(=オンボーディング期間)
2. カミナシを使いこなしている、自走している
3. 1で導入した業務を、別の現場/部署等に広げていく
4. 1で行っていない、新しい業務での利用を広げていく
5. 別の拠点でも利用を広げていく
1〜5のフェーズごとに、CSの感覚で「これをクリアしていたら活用がうまくいくことが多い(逆にこれがないとうまくいかない)」というものを洗い出しました。洗い出すときには、定量的な話でも定性的な話でも、どちらでもOKとしました。
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③指標の絞り込み〜ヘルススコア指標としてふさわしいものに絞る〜
ブレストして、大事なポイント・指標を出せたら、ここから「どれを指標として採用すべきか」を検討していきます。
まず、①で決めた目的に立ち返り、アップセルの観点が強くなる以下のフェーズの指標は対象外としました。
4. 1で行っていない、新しい業務での利用を広げていく
5. 別の拠点でも利用を広げていく
その後、合計30弱の候補が残っていたのですが、その後どのように絞っていったかをお伝えします。
まず、私の独断と偏見で候補を絞る
ここについては、私自身がカミナシで、オンボーディング/リテンション問わず顧客対応の経験があったからできたことだと思います。
もしも、ご担当の方があまり経験が無い場合、もしくは、経験があっても少々顧客フェーズ/規模等が偏っているなどの場合には、複数人で検討しても良いと思います!
その中でも、現在計測可能なもの(可能になりそうなもの)に絞っていく
そもそも数値として取れない、取りようがないものについては、ここで外しました。もちろん、現在取っていない情報でも、取れる可能性が有るものは、この時点では残しました。
上記をたたき台として、プロジェクトメンバーに共有して、ブラッシュアップしていく
CSのメンバーが納得感があることは非常に重要だと思っていたので、私のはあくまでたたき台として、プロジェクトメンバーに相談をして最終化していきました。
結果、この時点では14個の指標まで絞れました。
④スコアのテスト算出〜絞った指標で、スコアをテスト算出する〜
さて、候補がしぼられたので、ここから検証フェーズです。
これで決定!といってしまっては、本当に正しい指標で構成できているか不安ですよね。ですので、まずはテスター顧客を決め、まずはその顧客のみで数値を出してみました。
テスター顧客の決め方
今回、チャーンを防ぐのが目的のヘルススコアでしたので、以下の点で決めました。
![](https://assets.st-note.com/img/1669186082350-miaDgFuGhh.png?width=1200)
上記のようなグループで実際に数値を算出していけば、簡易的に確からしさを確認することが出来ます。
Risk顧客やChurn顧客ではヘルススコアが低く出て、Good顧客では高く出れば、ヘルススコアが正しく機能すると考えられます。
各指標の数値を出力し、スプレッドシートに貼り付け
上記のテスター顧客において、③で絞った指標15個の数値をすべて出力し、スプレッドシートに並べてみました。
Good顧客・Risk顧客・Churn顧客を眺めながら、各指標がチャーンにどれほどの影響を与えそうかの「影響度」を、低〜高でつけていきました。プロジェクトメンバー全員で、複数人の感覚をすり合わせながら考えるのが大切です。
この時点で影響度がかなり低いと考えたもの、他の指標と被ると考えたものは、ヘルススコアから外していきました。
![](https://assets.st-note.com/img/1669187135520-SloN0ArD4t.png?width=1200)
そうした結果、最終的に以下10個の指標まで絞られました!キリがいいですね!笑
![](https://assets.st-note.com/img/1669188421947-S6dvkE3tuy.png?width=1200)
重み付けの検討
その後、各指標への重み付け=配点を検討していきました。
影響度の高いものは配点を高く、影響度の中/低のものは配点を低くし、全部で100になるようにしました。(以下画像黄色の部分)
![](https://assets.st-note.com/img/1669187438206-paSxKyU3Ky.png?width=1200)
関数を使い、配点を変えると各案件のスコア値が変わるようにして、微調整をしていきます。(以下画像黄色の部分)
![](https://assets.st-note.com/img/1669187617866-R38G9K3GLD.png?width=1200)
1つ2つの調整で、各案件のスコアが大きく離れたり近づいたりします。Good顧客・Risk顧客・Churn顧客の状況とスコアの数値に、可能な限り良い相関がうまれるようにしました。
⑤確からしさの確認〜改めてCSメンバー全員にヒアリング、再度検討〜
ヘルススコアは、納得感が何よりも大事です。以下の記事を読み、「みんなが信じられるものに出来るかどうか」というところにこだわりたいと感じました。
プロジェクトメンバー内であらかた決まってきたものを、CSのメンバーに見せ、感覚とずれていないかを確認していきました。
幸いにも、そこまでズレがなく好評だったため、ほぼ④のまま進んでいきましたが、ズレがある場合には微修正していけると良いと思います。
⑥確定&ダッシュボード作成
ついに、ヘルススコアの指標が確定しました👏
最後の⑥が一番むずかしいかもしれませんが笑、CSがヘルススコアを見るためのダッシュボードの作成に移りました。
「かっこよく自動で出力する」ということを本当はやりたかったのですが、すべて自動でダッシュボード化するには、エンジニアの方の力を借りたり、システムを導入する必要がありました。ただ、まだまだ初期段階のものであることから、まずは一定手動での運用を許容しました。
ダッシュボードは、スプレッドシートで作成することにしました。
今回の10個の指標は、「プロダクトデータから取得するもの」「それ以外のツールから取得するもの」「CSが判断して状況を入力するもの」の3種類ありましたので、まず簡単に実現するため、柔軟性の高いスプレッドシートにしていました。
ダッシュボード運用方法
毎月1度、ヘルススコアを更新するルールとしました。(本当はリアルタイムで反映したかったですが、これもまずは自分たちでやれる範囲での最善を考えました)
以下のスプレッドシートにデータを反映していきます。
![](https://assets.st-note.com/img/1669188776128-b6DVTt578v.png?width=1200)
反映が終わったら、アクション管理用のスプレッドシートを別で用意し、関数を使用して、数値反映をしたシートからデータを持ってきました(上書き等の事故防止の為)。
アクション管理用のスプレッドシートは、毎週実施される案件確認ミーティングで利用します。「ヘルススコア50以下」の顧客をフィルタし、集中的にアクション確認をすることで、これまでよりも緻密に案件管理ができるように🎉
![](https://assets.st-note.com/img/1669189102962-SIzvVqtyDC.png?width=1200)
まとめと、ヘルススコア導入の現時点での効果
カミナシのヘルススコアが出来るまでの過程を細かくお伝えしてみました!長くなってしまいましたが、かなり具体的に書いているつもりなので、なにか参考になることがあれば嬉しいです✨
ちなみに・・・実際ヘルススコアを導入して効果あったの?というところも気になるかと思います。
今の時点での効果をお伝えすると・・・
運用して2,3ヶ月ほどで、ヘルススコア50以下の顧客割合が10%ほど減少しました!
また、定性的な効果としては、今まで見える化されていなかった「各担当がどの案件に注意してフォローすべきか」ということが見えるようになったことで、全体把握がしやすくなり、CS担当の精神的な負担が減ったように思います。
まだまだブラッシュアップ中ですが、今回の導入で一定の効果が見られることが分かってきたので、システム導入の検討も進めています。
もっともっと、CSの営みをサポートできる存在になれるようにパワーアップさせていきたいと思います✨
最後に・・・
このnoteを見てカミナシに興味を持ってくださった方、またはCSについて色々話したいと思ってくださった方は、以下お好きなものからご連絡いただけると嬉しいです〜😊 待ってます!