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赤めだか(読書感想)

書籍の情報

赤めだか
立川 談春
扶桑社
2008年4月20日 初版第1刷発行

書籍の目次

第1話 「これはやめとくか」と談志は云った。
第2話 新聞配達少年と修業のカタチ
第3話 談志の初稽古、師弟の想い
第4話 青天の霹靂、築地魚河岸修業
第5話 己の嫉妬と一門の元旦
第6話 弟子の食欲とハワイの夜
第7話 高田文夫と雪夜の牛丼
第8話 生涯一度の寿限無と五万円の大勝負
特別篇その1 揺らぐ談志と弟子の罪―立川流後輩達に告ぐ
特別篇その2 誰も知らない小さんと談志―小さん、米朝、ふたりの人間国宝

感想

 落語家である立川談春が、師匠の立川談志に弟子入りし、修行する様子が描かれています。談春は師匠の身の回りの世話をしながら、時折稽古をつけてもらいます。師匠からの度重なる理不尽な指示を、弟子達がいかに切り抜けてきたかが、落語家らしい描写で語られています。また、同じく立川一門の志らくと談春の出世競争に関するエピソードも、魅力だと思います。

印象に残った箇所の引用

84ページ
「師匠が行け云うんやから、談志の弟子を続けたいんやったら行かなしゃーないやんか。俺らに自由も選択の余地もないんやから」
そうだ、そうなのだ。
この世界は前座のうちは虫ケラ同然。個として認められる自由も権利も何ひとつとしてない。悔しきゃ一日も早く二ツ目になれ。そうすりゃ一人前として扱ってやる。ましてや立川流は二ツ目になるための条件を明確にしてある。古典落語を五十席を覚えろ、そのレベルの判断は家元である立川談志が下す。

193ページ
四人それぞれが稽古に励む。この段になれば、チームワークなんて云ってられない。試験前夜、五十席を書き出した。丁寧に心を込めて一席ずつ書く。不安でたまらなかった。書けば書くほど、それぞれのネタでトチった箇所ばかりが頭に浮かんでくる。頭が冴えてくる。心臓が高なっている。とうとう一晩マンジリともできなかった。。。

赤めだか


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