乱射映画「猿の惑星:新世紀」ネタバレ 考察 曲の解説
Gun-Free Zone 銃所持禁止区域
アメリカにはそういうエリアがある。学校なんかがそう。一定の範囲内での銃の所持は禁止されている。言い換えればそのエリアで銃を持ってる人間は少ないという事。だから銃乱射事件の多くはこのエリアで起こる。
映画は社会問題を下敷きにする
って言うのは創世記の記事で書いた。
この新世紀は銃規制、銃乱射事件を下敷きにしてる。
この映画が公開される数年前に凄惨な銃乱射事件が何度か起った。
有名どころだと映画「ダークナイト ライジング」の上映中に起こったオーロラ銃乱射事件。
20人の小学生が犠牲になったサンディフック小学校銃乱射事件。
他にはバージニア工科大学銃乱射事件で30人以上の犠牲が出た。
その度に銃規制の声が上がったが規制強化より緩和する州が増え銃乱射事件も無くならなかった。
暴力への恐怖、犯罪者への怒りが問題の複雑さの一因になっている。
猿の銃社会 ライジング
映画はエイプの狩猟シーンから始まる。槍や投石で獣を狩り、銃は存在しない。
そこに人間が現れ発砲しエイプと人間の間に緊張が走る。争いを望まないシーザーとマルコムは森に銃を持ち込まない約束をし銃禁止区域を作る。これを破ったのが冒頭でも発砲したカーヴァーだ。撃ったのも持ち込んだのもエイプが怖いから。本人も「怖くてパニクっちまった」と言う。
人間のリーダーのドレイファスはエイプの大群におびえる人々に
「我々には銃がある」「ここ以外にもたくさんの武器がある」と叫ぶ。
銃があるから安心だと。
でもその銃のせいでエイプと人類の戦争が始まる。
発端になったコバの銃撃は、人間への怒りや復讐心に反比例するように軽々しい。
最初の偵察の時は危機感を煽る音楽が流れるがコバはおどける。
次の襲撃時には音楽もなくあっけなく人を殺す。
現実の銃乱射事件も日常の続きのように始まってるのかもしれない。
窮鼠は銃で猫を撃つ
人間はエイプを恐れ対抗するために銃を使う。人間は既に衰退しエイプよりも弱い。
町の門前で対峙する馬上のシーザーと地に立つマルコムのシーンがそれを物語る。
ラストのコバとの対決シーンではコバは銃を持ちシーザーより強いと意気込む。そのくせ手負いのシーザーとの殴り合いでは勝てずに銃に頼る。
銃の存在を知っていて群れに持ち込まなかったのはこういう事態を避けるためだったともいえる。実際に「人間は必死だ。追いつめれば攻めてくる」と言う。旧シリーズでも文明が人間を滅ぼしたことになっている。
追いつめられれば武器を使うのはエイプも人も同じだった。シーザーの赦す強さはエイプ全体が持つものではなかった。
コバの憎しみ、ドレイファスの恐怖がシーザーやマルコムの優しさと赦しを飲み込む。
ラストの闇に消えていくマルコムは人類の行く末を思わせる。それを見つめるシーザーは戦う決意を瞳に宿し映画は終わる。
賽は投げられてしまった。
備忘録
ドレイファスの恐怖の銃乱射、コバの怒りのW機関銃が印象的。
電気が戻った時に流れる曲 THE BAND の"The Weight"
肩ひじはるなよって歌詞が多い。聖書からの引用が多い。
考察好きにバンドメンバーが「あんま深く考えんなよ」って言う。
映画「イージーライダー」でも使われている。
その映画内でも不寛容と銃の悲劇が起こる。
ブルーアイズ、シーザーとの再会時に銃に目をやり置く。
ロケットの息子アッシュは撃たれた事を赦す。その強さをコバは許さない。