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わけが分からないくらいハマり狂った趣味10選
「カブトムシが交尾しますように」
小学生の頃、七夕の短冊に真剣に書いていましたMattiと申します。
昔から好きなことを見つけると狂ったようにハマる性格です。生物好きが高じて博士課程を修了し、今となっては研究が仕事になりました。
これまで数々の趣味に没頭してきました。ブームは嵐のようにやってきて、一度バチンとスイッチが入ると狂ったようにハマってしまう性分です。
今回は「あれは狂ってた」と思えるほどハマった趣味を10個、時系列に並べて紹介します。
① う〇こ屋さん
しょっぱなからお下品ですみません。
初めて何かに狂った自覚があるのは、保育園の年中の頃でしょうか。当時、両親にたくさんの図鑑を買ってもらっていました。その中の一冊、くるま図鑑にてひときわ目を引いたのが「バキュームカー」でした。
母親曰く、これは「う〇こ屋さん」とのこと。
ブツを集めれば自分も夢を叶えられるだろうと思っていたのでしょうか。ふれあい動物園で大量にヤギさんのアレを拾い集めてポケットパンパンに帰宅し、大目玉を食らったことも。
理想と現実のギャップを思い知らされたのも、これがきっかけ。小学生のころ、家族ぐるみで仲良くしていただいた友人のご実家 (すさまじく田舎) に連れて行ってもらった時のこと。その一帯はくみ取り式だったので、バキュームカーが回ってくるエリアでした。念願叶うとワクワクしていたのもつかの間、作業後に家中に立ち込める異臭に挫折を味わうのでした。
② 虫取り (第1ブーム)
冒頭の通り、カブトムシの繁殖を心から願っていた小学生時代でした。
当時持っていた昆虫図鑑をなめるように読みふけり、和名をフルネームで覚えました。当時の週末ルーティーンは、虫取りで捕まえた昆虫を眺めながら夕食を取ることでした (寛容な家族です)。
特に好きだったのは甲虫。ごつさとメタリック感、バラエティーの豊富さが推せますね。カブトムシはもちろん、オサムシやシデムシと呼ばれる徘徊性の種類も好きで繁殖・維持していました。
昆虫飼育の醍醐味は繁殖です。卵から成虫に至るまで、あんなに姿かたちがダイナミックに変化する生き物が身近にいるんです。観察しなきゃ損です。
これらの昆虫はプラスチックの衣装ケースの各段に入れて育てており、我が家では「昆虫アパート」と呼ばれていました。引き出しを開けたときのカサコソ感や独特の匂いが忘れられません。
そんな寛容な両親の唯一の飼育NGはゴキブリ。
「ちいさないきもの」という愛読本にありとあらゆる生き物の捕まえ方や飼い方が書いてありました。今もあるのでしょうか?その本にはゴキ専用トラップの作り方まで書いてありました。実際に作って大量に捕まえたのですが、飼育・繁殖目的であることが自明だったため、近所の公園に強制放流を命じられてしまいました。
③ 百人一首
小学校3年生の時の担任の先生が百人一首フリークだったので、クラスで百人一首を覚えることが美徳とされていました。
休み時間に百人一首大会をするのが流行り、そのために全部の句を暗記しました。全部覚えたぜ~とドヤり散らかしたかったので、死に物狂いで覚えました。陰であくせくしてクールぶることを覚えたのはあの頃です。
百人一首は詠み上げられる上の句をもとに下の句の札を取るゲームです。上の句には「決まり字」といって、下の句が決定するポイントがあります。有名なのは「むすめふさほせ」で、詠み手が「む」といった瞬間、下の句が「霧立ち上る秋の夕暮れ」に決まるといったものです。
村雨の 露もまだひぬ まきの葉に 霧たちのぼる 秋の夕ぐれ
基本的には決まり字を覚えれば競技としては成り立つのですが、札を取ったあとどうしてもフルで詠唱してドヤりたかったので全部丸暗記しました。
もちろん作者の名前も丸暗記。どうでもいいですが、百人一首で一番長い名前の人は法性寺入道前関白太政大臣 (ほうしょうじにゅうどうさきのかんぱくだじょうだいじん) です。
小学生男児的にクラスで一番ウケたのが、僧正遍照が(おそらく出家前に)詠んだ歌です。
天津風 雲の通ひ路 吹きとぢよ をとめの姿 しばしとどめむ
興味ある方は調べてもらえると良いのですが、彼は当時の歌人のスーパースターです。詠んだ歌がセクシーな感じなのに、お坊さん姿で登場するところが小学生的には爆笑ポイントでした。
効率を取るか、労力を取るか。
趣味はどれだけ骨が折れても気にならないのが不思議です。
ちなみに、大学入試の古文の点数にはまったく活かされなかった模様です。
④ カードゲーム作り
百人一首ブームと時を同じくして、これも小学生のころ。
当時は遊戯王やデュエマが流行っていました。近所の年上の人にデッキを作ってもらったり、少ないお小遣いでカードを買いに行ったりしてました。年上の友達に作ってもらったデッキがそこそこの強さだったので、彼らに秋葉原のカードショップ店に連れて行ってもらい、小さな大会に参加させてもらいました。
結果は惨敗。当時のお小遣いでは限界がありました。
そこで僕たちは考えました。自分たちでカードを作ってしまえばよいのでは?と。
毎日せっせと自由帳からカードを"生産"し学年中に流通・普及させました。そのうちチート級のカードを"違法に"流通させる輩が出てきたため、禁止カード制度を導入して学年内の秩序を保ちました。
良いものを生み出しても、それを活かすのは制度です。つくづく文系あっての理系だなと思います。慎ましく生きていきます。
⑤ K-pop
中高生時代、当時は東方神起、BIG BANG、少女時代、KARA、etc.の全盛期でした。近所にコリアンタウンがあることも作用し韓流を身近に感じていたので、すんなりとK-popにはまりました。
曲を聴いているうちに歌詞の意味を知りたくなり、独学で韓国語を勉強しました。今でもバラエティ番組くらいなら字幕なしで理解できます。
ある年の夏休みにソウルで開催された大きなライブに行きたくなり、同級生と航空券を取って見に行ったりもしました。この時は部活をしていたこと、勉学が振るわなかったことから、周囲の大人に猛反発されるのを予想して秘密裏に渡韓しました。北海道に行くと嘘をついて。これが良くなかった。
パスポートのスタンプから嘘が発覚し、両親をひどく失望させました。ただ、猛省はしていますが後悔はしていません。
本当にやりたいことは根拠をしっかり示して行動に移すべきです。昔の自分にアドバイスをするとしたら、しっかり理論武装して交渉するんだぞと言いたいです。
⑥ 古代ローマ史
大学生の時にヨーロッパの古代史にはまりました。正確には塩野七生さんのシリーズにはまりました。
塩野さんの著書を読み切った後、一次資料にアクセスしたいとの思いが強くなり、ユリウスカエサル著のガリア戦記を英語で読みました。その後は古代ローマのインフラや市民生活に興味が移り、書籍や原著論文ベースで遺跡や石碑を調べるように。
今は使われていない当時の言語「古代ラテン語」を学び碑文を読めるまでに。一次資料にアクセスできる喜びを知りました。
趣味としての古代ローマ史の良いところは、資料が体系的に保存されていることです。古代ラテン語を学べばローマの観光名所に残る碑文だって読めますし、土木建築を体系的に理解していれば実際に見たときの感動が何倍にも増します。
今自分はフィンランドに住んでいます。古代ローマ史にフィンランドの存在は皆無ですが (かろうじてタキトゥス著のゲルマニアにバルト三国のAestii族があ出てくるくらい?)、ヨーロッパ各地にアクセスしやすいので古代ローマ遺跡を沢山巡れて楽しいです。出張や旅行のたびに何かを見てきます。
2000年前に異文化を吸収・昇華して独自に作り上げたシステムやデザインの多くが現代社会でも残っており、その面白さゆえに狂乱するに値する趣味だと思います。
⑦ 虫取り (第2ブーム)
大学院に入って2回目の虫取りブームが来ました。幼少期は甲虫がメインでしたが、今回はアリ、そして寄生バチと呼ばれるハチの仲間に惚れてしまいました。ここでは特にアリについて語ります。
アリは毎年決まった時期に結婚飛行という繁殖のためのイベントがあります。そこで女王アリはオスアリと出会い、交尾を経て自分の巣を作ります。オスアリは交尾したら大往生です。交尾後の女王アリは自ら羽を落とし、巣作りに最適な場所を求めて徘徊します。
そんな交尾後のアリを求め、挙動不審に地べたを這いつくばるのが季節のイベントでした。試薬会社の人や守衛さんに笑われながら、「アリの人」としての地位を確かなものにしたことが大学院時代の業績です。
アリは持ち帰って自作の巣で飼育していました。アリ飼育という行為は観察そのものです。最初は女王1匹の巣が段々と"社会"を構築するさまを間近に観察できるんです。こんな趣味なかなかないでしょう。
餌として、爬虫類の餌用のデュビアと呼ばれるゴキブリを同時に飼育していました。南米原産のおとなしいゴキです。幼少期のころの夢がここで叶いました。
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トビイロケアリのコロニー、自作の石膏巣にて
ちなみに、コロニーはすべてフィンランドに来るときに人に譲りました。元気でいると良いんですが。
⑧ 観葉植物 (洋ラン)
観葉植物もなかなか息の長い趣味です。
中学生のころに食虫植物の魅力に憑りつかれて以来、熱帯性の植物が特に好きです。高校生でエアープランツと呼ばれる植物に、大学で洋ランにはまり、家がジャングルでした。
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高校生時から毎年楽しみにしていたのが「世界らん展」です。2月に東京ドームで行われるイベントです。お花が好きな人におすすめです。蘭にまみれることができるのはここしかありません。
植物は何でもそうですが、水やりや肥料が大切です。蘭は湿地帯から高山対まであらゆる場所に生えるバラエティー豊かな種類なので、原生地の気候を考えながらお世話をすると綺麗な花が咲きます。
育てている植物の原生地の写真を見ながら、どうやってお世話しようかと考え動きを見るのが一番楽しいです。ちなみに植物好きの仲間内では植物の原生地の写真集はエ〇本と呼ばれています。野生そのものの美しさがとてもセクシーなので。蘭の世界、良いですよ。
⑨ 英語
大学受験に失敗して滑り止めに入学したあと、何となく英語だけはと思って現在に至るまで続いている趣味です。今となっては趣味というか日常のツールかつ仕事での武器なのですが。
趣味としての英語で最初にハマったのはTOEIC。TOEICは問題がパターン化しているので、英語能力検定というよりはパズルゲームのような感覚が楽しかったです。俗に言う学歴コンプレックスのような感情が渦巻いており、テストで負った傷をテストで埋められるという点で相性が良かったのかもしれません。入学後すぐにハマり、半年弱の間に数回受け945点を取ったあと急激に飽きが来てやめちゃいました。
英語は大学入学後ウジウジしていた自分に指針を示してくれた救世主です。英語を中心に大学の一生ものの友達ができ、海外の友達ができ、視野が広がり、ここまで前向きにやって来られました。
語学学習は目的に応じて方向性を定めやすいのが良いところです。直向きに続けて結果が出やすいので、頭がこんがらがったときに瞑想がてらやるのもありかなと思います。
また、学習に終わりがないのも良いですね。やればやるほど美味しいという点では狂うだけ狂える良い趣味です。
⑩ 自転車
大学院に進学して以来、自転車通学をするようになりました。都内の複雑な山の手台地を縦断するように登り下りだったので、使い勝手が良いクロスバイクを買いました。
同じ頃に神社良いなと思い始めていたのでお参り+御朱印をなるべく人力で回れば面白いのではと考え、自転車で日本中の歴史ある神社に行きました。ちなみに、山が御神体の神社の場合は登頂しないと御朱印は貰わないという謎ルールを頑固に守ってました。
妻 (当時の彼女) の実家から数百kmの所に用事があった時。これは自転車を持っていけば海岸沿いをゆっくり見れて面白いのではとひらめき、用事が終わったあとに炎天下の中、田んぼ〜海岸〜神社を計250km走ってご実家に行きました。付き合い始めて間もない頃からお互いの実家を行き来していたのですが、まさか本当に来ると思ってなかったらしく、おじいちゃんおばあちゃんの腰を抜かしてしまったのは今では笑い事。いや、ほんと寛容な方々に囲まれて過ごしてるなと思います。
こちらフィンランドでも同僚と湖畔をサイクリングしました。近い内に隣のラボの同僚から安く譲ってもらう予定なので来シーズンはどこまでも行ける気がします。
次は何に狂うのでしょうか?
フィンランドに来て芽生えを感じるのは、キノコ狩りです。人気の食用キノコや特に危険な毒キノコの見分け方や近所の採集スポットはいくつか押さえました。2025は採集域を広げることと、マツタケスポットを見つけるのが目標です。たぶん沼ります。
フィンランド繋がりで言えばやっぱりフィンランド語ですかね。フィンランド語でフィンランドを語れるようになりたいです。ヨーロッパの多くの言語がインド・ヨーロッパ語族というグループである一方、この言語はウラル語族というまったく別のグループです。英語やラテン系の言語にはない特徴が沢山あり、沼るかもしれません。フィンランド語からエストニア語やその他の周辺言語に興味が飛び火していく可能性もあってワクワクします。
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皆さんはどんな趣味がありますか?
一通り書いてて感じたことですが、好奇心を持ち続ける事と一度走り出したら止まるまで突っ走らせてくれる環境って大事ですね。
このnoteでは自分の趣味のことも書いていけたらいいな〜と思います。最後まで読んで頂きありがとうございました。