指摘することって難しい
先日、会社の飲み会があった。
飲み会で時間がすこし経ったころ、お酒も入った上司が、
今の時代だとちょっと差別用語のようなワードをぽろっと口にした。
わたしは「あ~それ、だめなやつ」ととっさに思ったら
すぐに横にいた年上の女性が「その言葉だめですよ」と、手で×をつくって優しくいなした。
その上司にはうまく伝わったのかよくわからないけど、
ほんの一瞬だけ気まずい雰囲気になって(わたしだけ敏感に察知しただけなのかもしれない)、
そのまま会は過ぎた。
わたしは、その場でうまく指摘できなかった自分にとてもモヤモヤして
「だめだな、指摘できた人はすごいな」と思って落ち込んで、
でも一方で、その上司に指摘できたとしてもきっと、わたしは「嫌われたんじゃないか。この後の仕事が気まずくならないか」というささいなことに気をつかっていたのではないかな、
と思ったりもした。
あ~~~こういうのに悩まない人、というか、
こういうのにうまく指摘できる人になるまで、
あとどのくらいたてばなれるんだろう。
いや、意識次第で今すぐにでもきっとなれるんだろう。わたしはいつも、言えない立場で容認しちゃってる。
圧倒的にこの場で、その上司がだめなんだけど、
こういうときのうまい動き方に、今でも思い悩んだりすることに、心底自分にがっかりするときがある。
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次の日、夫と夕飯を食べた時にこのことを話してみた。
夫は「由佳はどうしたかったの?」と言った。
あまりにストレートな問いに、ちょっとどきっとして、
「うまく指摘できればいいなって思うけど、うまく指摘できなくてモヤモヤしてる。でも指摘したからといって、それはそれで、わたしはきっとおどおどしてしまう」と言った。
夫は「ほうほう、ということは指摘したかったんだね」と言った。
わたしは夫の次の言葉を待ってみたけど、
夫はそのままおかずを口に放り込んで
そこから別に何かアドバイスはしてくれるわけではなかった笑
でも、第三者に「指摘したかった」と認定されたことについて、自分の本当の気持ちに直面した気がして、すこし驚いた。
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昔、冒頭と同様のシーンに遭遇したことがある。
その時は、たしかお酒も入っていないときで、
別の上司が話の流れ、というか勢いでたしか、受け取り方によってはパワハラになりかねないような言葉を言ったことがあった。
その時にすぐ、後輩が「あ~~それ、今の時代、だめですよ!!」と場が暗くならないように言った。
その時、上司は「あ~そうか、すまん」みたいな感じでちゃんと謝って、そのまま華麗に次の話題に流れていった。
わたしは一人、心の中で「すごい…こんなに後腐れせず、気まずい雰囲気にもならず、上司にしっかり認識させ、しかししっかり指摘している!」と後輩に惚れ惚れした。
まあ、それはその後輩と上司が仲良かったこともあり、関係性がしっかりできていたというのもあるだろう。
でも、関係性ができていたとしても、指摘できる人とできない人はいる。
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何かを変えたい!社会の仕組みや空気を変えたいとか、そういうことを声たかだかに言いたいわけではなくて、
もう少しこういう時に、うまく立ち回れたらな、なんてよく思ったりしています。