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アートのグループ展に刀剣絵をぶっ込んでみた話

 4月17日から25日まで、在所の駅近くにあるコワーキングスペースで、アート仲間5人でグループ展をしまして、私は一昨年の個展で出した絵のグッズくらいしかモノがなかったので「じゃあ刀でもいいですかね(゜ω゜)」と、殆どメインがそちらででもあるかのように『水彩刀剣』をぶっ込んで展示しておりました。
 主に平日と日曜に終日在廊して、時々来られるお客様に仲間の展示作品を紹介しつつ自分の展示の事についてもお話したりしていたのですが、この一週間ちょっとで感じた事が色々とあったので記しておこうかと思います。

合言葉は「か↓た↑な↓!?」

 ハイ、知ってました、大体分かってましたが、私の展示物に気づいて近づかれた方は98%以上の確率でこの反応でした(そもそも私の展示エリアを展示だと認識されていなかった事も多かった気がしますが)
 その度に「はい、刀です」と冷静に対応してきた訳ですが、まぁ当然の事ながら一般的なお客様には事情が分からない訳です。刀が絵になっている事情が。分からないと思います、私も←

「え、刀……え、絵なの? これは。刀の……絵……?」
 頭上にハテナマークが乱舞しているのが分かります。
「え……何で刀を……絵、にしたの……? え、刀好きなの?」
 経緯を話すと長くなるのですが、好きです。好きでしたし絵も描いていたのでそれらが合体した結果こんな感じになっているのですが、どうしてこうなったのかはちょっと作者でもメカニズムがよく分かってません。
 ただ言えるのは、刀が好きだという事です、ハイ。

高確率で現在の世の中に刀があると思われていない

 これ、改めて感じて逆に新鮮だったのですが、今この世の中に本物の切れる刀が存在していると思われていない事は結構な確率であるようです。
 おかしいな、去年在所のちょっと大きな美術館に佐野美術館から『名刀は語る』展が来てて蜻蛉切とか来てたんだけどな。めちゃくちゃ現存してますよ、刀(゜ω゜).。o(なるほど、これが以前聞いた、刀剣乱舞とか始めても割とな割合の刀が現存していると思われてなくて『○○博物館にありますよ』という呟きに万単位のいいねが付く現象)
 何なら拙宅にも……個人宅にもあったりしますよ、大丈夫←?

 わーー……何だろう、何だかとても新鮮な反応(普段刀ありきの環境で喋っているので)

何で好きなん?

 一番聞かれるやつかもしれません。実に根本的でド真ん中ですね。
 んーーー……何で…………何でですかね?(オイ)
 刀だからですかね?(ループする世界)
 まぁまず刀なので美しいですよね。…………美しいですよね? 美しいと思ってるんですけど何か間違ったでしょうか……あのー、反りとか……しなやかな姿とか……鋒とか……小鎬、あ、鋒の内側の線ね、うん、そこがシュッとしてるのとか(関西)……コントラスト、とか……
( ・ω・)「刀見るのん?」
あ、はい、一応……というか、主に、はい
( ・ω・)「刀の何見てるん? あの波々(指のジェスチャー付き)なのとか?」
あ、刃文でしょうか。そうですね、刃文も見ますし、地鉄……刀の平たい所で刃文ではない部分の……えーー……肌……あーー、鉄の、模様……? とか
( ・ω・)「鉄の模様!? そんなんあんの?」
はい、ありますね、ホント肌というか、肌理といいますか、鍛え……こう、トンテンカン打ってる内に鉄の中に出てくる模様みたいなのがありまして、揃ってるなぁとか細かく出てるなぁとか
( ・ω・)「へぇーーーーーーー。面白いん?」
え、あ、はい、あ、面白い、です! というか見てて綺麗と申しますか、心が疲れたりささくれだったりしてる時に見るととても落ち着きますね
( ・ω・)「そうなん!?」
あ、はい、とても癒やされます
( ・ω・)「それって切れるん?」
そうですね、真剣なので、一応。斬りませんけども。見るだけですけども。
( ・ω・)「でも切ろうと思ったら切れるん?」
切れ……は、はい、しますけれども、斬らないです、見るものです、美術刀剣なので!
( ・ω・)「そんで好きなん?」
はい(曇りなき眼)
( ・ω・)「ほんで描いてるん?」
あーー……はい、ええ、ちょっと、好き過ぎて
( ・ω・)「刀描く為に絵ぇ描いてたん?」
あ、いえ、違います。元々絵は描いててそこに刀が入ってきたというか
( ・ω・)「へぇーー。じゃあ後から刀が好きになって?」
あ、いえ、元々好きでした
( ・ω・)「あ、そうなん!?」
はい、子どもの頃から好きで……ずっと好きではいたんですけど、絵で描くようになったら好き過ぎてというか楽しくなり過ぎて凝り始めて……
( ・ω・)「凝る。え、何を凝るん?」
えーと、モデルの写真から写す時に定規で測って計測点を取って、手書きで繋いで描いていくんですけども……
( ・ω・)「測るの!?」
あ、はい、トレス出来ない……というかしないので、はい
( ・ω・)「そんなしてまで描いてんのん!?」
はい、計測点間違うと全く似ないものになるので
( ・ω・)「…………よっぽど好きやねんね」
はい、好きです(真っ直ぐな眼)

刀剣専門の雑誌がある世界線

 これが二番目くらいに多かったかもしれません。
 どうやら私は刀剣の雑誌がある世界線に住んでるのですが、一般的にはそういうのがない世界線のようで、奇しくも今回その二つの世界線が交わった事になったようです。
 割と刀に特化した書籍や雑誌やムックはあるので、店頭在庫こそ多くはないかもしれませんが、ご興味があればネット通販という手が大きく広がっておりますので、ハイ!

刀の絵図の可能性

 今回、会期の間二日間お世話になったスペースの番頭兼バリスタの方が熱心に話をして聞いて下さって、そこで改めて言われた事が印象的でした。
「刀の世界、僕はまだよく分かってないですけど、それ(刀)のカラーの絵って概念がそもそもなかったのが(多分良い意味で)ショックでしたね」
 元々刀の世界の画像は二種類。カラーかモノクロかの違いはありますが写真というものと、地刃の設計図のようでもある拓本と言える押形。写真ではカラーもあり得るけれど、押形はモノクロです。でも、細かく言えばカラーはカラーでも写真のカラーと絵画でのカラーはまた別だと人間の眼は認識するようです。
「写真はカラーでも、まぁ、写真だなと思いますけど、絵だと見てしまいますよね。え、これどうなってるんだろうって(山鳥毛の額装を見上げながら)何ででしょうね?」
 それは……私も分からないですが、よく言われる事ではあります。(例え自分の持ってる刀や拵でも)写真を飾っとこうとはあまり思わないけど、絵だったら飾っておきたいと思う、と。
「見たいと思ってしまうからなんでしょうかね」
 どうなんでしょうねぇ……その辺のメカニズムは私にもよく分かってないんですが、絵画という媒体が持つ魅力の一つなのかもしれません。普通に絵画に触れたり描いたりする生活をしているので改めて考えた事がなかったのですが、根源的な話、絵ってそういうものなのかもしれません。
 そう考えると、それはそれで不思議……というか、面白いです。

 多分、これからも描き続けていくんでしょうなぁ。ちょっとしたランク持ちの刀剣でさえ、万単位で数があるんですから、描いても描いても追いつかないでしょう。それに加えて現在でも生まれてきている新しい刀が沢山あります。それらも刀匠さんの許可があれば絵図にしていく事は可能ですし、拵は拵として絵にしていく事も出来ます。
 そうした活動にも対応出来るようにこれからも楽しく頑張って描いていこうと思えた期間でした。



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