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洪鐘弁天大祭 ライブ配信体験レポート
2023年10月29日(日)に北鎌倉の山ノ内地区で洪鐘弁天大祭が催されました!この記事ではマツリズムインターンの岩田が、洪鐘弁天大祭ライブ配信の舞台裏についてお届けします。お祭りの歴史と、60年にわたる準備の重みを感じる体験となりました。
60年に一度のハレの日
洪鐘弁天大祭について
円覚寺にある国宝・洪鐘(おおがね)は時宗公の遺志を継ぎ、子の貞時公が鋳造させたものです。二度にわたる鋳造失敗、円覚寺第六世住持の示唆による貞時公の江島弁財天への参籠、弁財天の啓示を受け、1301(正安3)年、鋳造に成功しました。これを機に江島神社より人頭蛇身の宇賀神像を勧請し、円覚寺の鎮守としたとされています。
洪鐘は鋳造成功から720年の間、時を伝え、人を集めることのみならず、円覚寺の梵鐘(”梵”は神聖・清浄を意味する)として、鐘の音とともに功徳・「世界平和」の祈りを広く伝えてきました。
江島弁財天への鋳造成功のお礼として円覚寺と江島神社が共同で神事・仏事を行い、儀式に併せ、山ノ内の村人が洪鐘弁財天を奉戴し盛大にパレードする洪鐘祭(おおがねまつり)は、鹿山略記に1480(文明12)年開催と記され、その後も60年毎の庚子(かのえね)年に続いてきました。
2020年に開催を予定していましたがコロナ禍により延期し、今年遂に60余年ぶりに開催されました。
マツリズムはこのお祭りの魅力を現地に来られない多くの人に伝えるため、円覚寺さんや地域の皆さんと協力してライブ配信を行いました。代表・大原が司会となり、北鎌倉在住で日本女子大学文学部でもある古川元也教授、洪鐘祭実行委員会の鷹野さんを交え3名のリポーターで配信をお届けしました。一時は最高で2000人、合計2万人もの方が視聴してくださいました!
アーカイブ動画はこちら。
![](https://assets.st-note.com/img/1699922614660-vG9rVMkqOw.jpg?width=1200)
ライブ配信直前に漂う緊張感
9時ごろ会場に到着すると、すでに7台のパソコンと4~5台の定点カメラが設置され、配信の準備が進められていました。なんと、実行委員会の鷹野さんは前日深夜2時まで準備に奔走していたそうです。当日のスケジュールは下記の通り。
09:30 開会式 建長寺
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10:30 一部行列
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11:00 本行列開始
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11:45 円覚寺山内へ
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12:00 閉会式(円覚寺仏殿前)
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12:30 終了
配信機材を準備し、撮影を行うのは全て北鎌倉のボランティアの皆さんとマツリズムスタッフのみ。
配信開始直後から音声が届かないなどといったハプニングが発生しましたが、地域の皆さんと力を合わせて60年に一度の祭りの熱気を全国に届けます!
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現在に引き継がれる行列と洪鐘
洪鐘弁天大祭、通称洪鐘祭(おおがねまつり)の目玉はなんと言っても町内を練り歩く行列。
子どもから大人まで、町中の様々な人が煌びやかな衣装で巡業します。伝統的なお囃子や御神輿に加え、しの笛や三味線を弾く着物の女性たち、小学生と鎌倉竹部の方々による手作り宝珠、面掛行列、江島神社宮司、洪鐘祭実行委員会長など多種多様な行列が次々とやって来ます。その中には60年前に洪鐘祭に参加した皆さんと、着物で正装した稚児行列の姿も。この子どもたちは60年後、また洪鐘祭に参加し歴史を紡いでいきます。
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実行委員会の鷹野さんによると、今年のお祭りは新しい試みをたくさん盛り込んでいるそうです。例えば、洪鐘祭りのシンボルでもある洪鐘は重すぎるため、洪鐘のレプリカを作成し山車に乗せて引き回していますが、今年はそのレプリカにLEDを搭載して光り輝くようにしています。さらに、北鎌倉女子高校と地域のデザイナーがコラボして流れ旗を作ったり、行列に参加する子どもたちのために「洪鐘マント」を作成したそうです。
リポーターの鷹野さんと古川さんによると、洪鐘祭とその行列は60年ごとの当時の状況を映し出す、まさにタイムカプセルだと言います。時代によって様々な工夫が凝らされているのです。
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ライブ配信の裏では..
リポーター3人は配信開始直後は緊張の面持ちでしたが、行列が近づくにつれ生き生きとお祭りへの思いを語ってくれました。
私もカンペを用意してサポートします!「行列来ました!」
配信チームは会場の円覚寺と建長寺、行列が通る道路に設置されたカメラ4~5台のカメラマンと連携を取り、様々なアングルからの映像を配信します。さらに、リポーターが話題にしていることと、行列の動きをカメラマンが連動して撮影しわかりやすい解説を届けます。
映像が止まっている時は、古川先生に地域の歴史をお話ししていただき、ライブ配信を通して見る方が楽しく歴史も学べるよう工夫を凝らしました。
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祭りの醍醐味 心震える瞬間を共に
行列が目の前を通り過ぎると、
「祖父母から聞いてはいたが北鎌倉にこんなに賑やかな時があることを知らなかった。鳥肌が立つほど感動した」と言う鷹野さん。
心が震えるほどの太鼓の響き、お祭りの一体感、お祭りの醍醐味はみんなで見て感動を共有できることにあるのかもしれませんね。
古川さんも
「古文書や文章では伝わりきらない実際のお祭りの一体感がある。記憶が残るから未来に続いていく」と感無量の様子。
お二人は祭りを開催したという誇り、困難を乗り越えて準備が実を結んだ感動を噛み締めます。実行委員会をはじめ洪鐘弁天大祭は、地域の皆さん一人一人がそれぞれの想いを込めて参加しています。行列に参加するだけでなく、配信の機材を用意したり、お弁当を配ったり、行列の後の清掃をしたり、裏方準備にも多くの人が関わっています。
お祭りの最後には代表・大原が鷹野さんと古川さんに最後のコメントをお聞きします。
お二人は祭が終わってしまうのが寂しいという思いを抱えつつも、未来への期待と希望も感じています。
古川さん:「洪鐘やお囃子のような古いものはしっかりと伝承しつつも、今回の祭りのようにマントやドレス姿で行列するような新しいものも融合していいお祭りになったなと思います」
鷹野さん:「祖父母の代から伝えられてきた祭りを開催するために、0から1を生み出すようなパワーが必要でした。自分には何ができるかを日々模索してきました。今回祭に参加した子ども達が、次回は自分ごととして洪鐘祭りを作っていって欲しいと思います」
お祭りがあるのが日常と思うくらい、みんなで集まり毎日準備していたと言う鷹野さん。
60年後もこの地域が残っていくように、未来に願いを託します。
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午前中から降り続いていた雨も午後には止み、素晴らしい青空が広がりました!
今回の洪鐘祭では地域の人々が一丸となって祭りを運営し、開催のために努力している姿を目の当たりにしました。親から子へ、子から孫へ、受け継がれてきた伝統と新しい世代のアイデアを融合させることが、洪鐘祭りをもっと魅力的なものにしていくでしょう。
現在と60年後の北鎌倉の人々が一緒に作り上げていく次回の洪鐘祭りは、どんなふうに進化しているのでしょうか?今から楽しみですね!