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20230112 祭参加による非認知能力の向上の可能性

 昨日は心理学の本を読んだので今日は祭の文献検索をしたいなあと思いCiNiiでの検索実施。いつもなら30分程度探すとNOTEに書く論文が見つかるのですが今日は1時間以上かけて20弱の論文にあたってみても取り上げるものがみつからない。・゜・(つД`)・゜・。今日は縁がない日だと思ってあきらめようとしたところで…「祭参加による社会性発達」という私の関心にどんぴしゃの論文発見!
 
佐藤実芳 2020 伝統的な祭事の新たな試み : 石取祭の継承と非認知能力の開発. 愛知淑徳大学論集(文学部篇), 45, 67 – 79.

 本稿では、教育学の視点からその取組について検討し、伝統的な祭事をシステム化することによるその現代化、及び祭事が子どもに与える教育的意義について考察する。

 要約の一部を引用させていただきましたが,基本的には祭に参加すると非認知能力が開発されるよということについて教育学の立場から考察されている論文だと思われました。
 
 石取祭というのは三重県桑名市の祭で,江戸時代初期に始まり「天下の奇祭」や「日本で最もやかましい祭」とも言われているようです。
基本的には夜中に行われ,それまで音を立ててはいけなかった中午前0時に一斉に鼓鉦(こしょう)を叩き出すのが印象的なお祭りのようなのですが,それだと夜中なので子どもが参加できないのでお昼に「少年会」の活動を行うという感じだと思われます。8月初冬の無茶苦茶暑い時期の昼に子どもを外で参加させるために熱中症対策などを丁寧に行っている姿なども論文から読み取れました。

 そして石取祭への参加の教育意義として,(1)達成感,(2)忍耐力,(3)コミュニケーション能力及び社会性,(4)親密な人間関係の構築,(5)自分の役割の理解,(6)危機管理能力の向上が指摘されていて,それら6つを包括する概念として非認知能力が挙げられていると思われました。
 
 私は一応教育心理学の専門家だといっても良いとは思いますが,「教育学と心理学の違い」「教育学と教育心理学の違い」を説明しろと言われてもなかなか難しいなあと悩むしかできませんので,この論文に対して「心理学では~の様な事が言えそう」という視点を出すのは困難だと思います。
ただまあ,この論文であげていただいた教育的意義はすべて自分も研究してみたいとかねてから思ってきたものではありますが,なかなかそれを実証していくのは難しいなあと悩んでいるばかりで結果を出せていないのが素直なところです。
 
 まあでも,本当に同じ関心で祭について検討されている先生がすでにいらっしゃることを知って自分の方向性は間違ってはいないのは分かった気がしますのでなんとか歩みを進めていきたいなという思いを新たにすることができました。

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