【劇評】宮崎企画『忘れる滝の家』
『忘れる滝の家』は、青年団演出部/ムニの宮崎玲奈が手がける新作長編作品である。
アトリエ春風舎のブラックボックス。太く編み上げられた白いビニールロープが、まず目に飛び込んでくる。舞台上に横たえられたそれは、川のようにも、蛇のようにも見える。周辺には白い椅子がいくつか並べられ、机のような台座も置かれている。その上に白いヘッドホン、マグカップ。鍾乳洞のように天井から吊るされた円錐状の白く薄い布、そして床に並べられた靴。コウはひとり、この空間で手を叩く。俳優たちは一列に並び歩い