見出し画像

「いつか」なんて来る保証はないから、思いつく限りの親孝行をしてみた

親孝行したい時には親はなし。

ことわざにある通り、私が初任給を貰うと同時に、任務を終えたかのごとく、ピンピンころりと父が亡くなってしまったもので、母には出来る限りの親孝行をしたいという気持ちだけはある。

私はインドのバンガロールに住んでいるが、体外受精のスケジュールの関係上、この夏は約1.5ヶ月、福岡の実家に滞在していた。

父親の分身のような「大雑把」という言葉が良く似合う私と正反対な「几帳面」「計画性の鬼」のような母。分かり合えることは、昔からかなり少ない。実家にいると窮屈なんだよなー、という憂鬱な気持ちも多少あるけど、こんな機会は滅多にない。

「いつか」も、もう少し落ち着いたらも、絶対に実現するとは限らない。親孝行はなんやかんやで自分のためだと思うから、大袈裟なことは出来ないかもしれないけど、近くにいるから出来ることをやってみることにした。

まずはWifi設定から

自宅マンションのwifiが古くなっているとのことで、機械の交換が必要なようだ。母が仕事に行っている間に、業者対応とwifiの再設定をしたところ、母は「いや~、助かるわ~!」と喜んでいた。

本場の韓国料理にご招待

ただただ、私がカンジャンケジャンが食べたかったもので、天神で有名な本場の韓国料理屋を母の仕事が終わる時間で2名で予約を入れた。

出勤前から、やたら浮かれている母。会社の人たちに「今日は娘とカンジャーンを食べに行くの」と言いふらしていたようで、会話が成り立ったのかが心配である。

お目当てのカンジャンケジャン、ふわふわお肉のサムギョプサル、キムチチゲも美味しく大満足。ご馳走したところ、とても嬉しそうにしていた。

携帯の機種変更と設定

ホーチミンに招待したとき。ホーおじさんとはしゃぐ母

母は、携帯をAndroidからiphoneに買えたいとのことだが、携帯ショップに行くと店員さんに「ずっとAndroidを使われているのであれば、Androidがいいですよ」とiphoneを買わせてもらえないそうで、仕方ないと諦めていた。

まずは、母を近所の電気屋に連れて行きiphoneを触りながら説明をした。するとカモが来たと言わんばかりに店員さんがやって来て、オプションを複雑に組み合わせた長期プランをカモに提案していた。ああ、こうやって老人はカモられるのだろう。

「最新のiphoneまでは必要ない」という結論に至り、最新機種を手にした私が下取りに出そうとしていた、iphoneとAirPodsを母に渡すことにした。初期化し、Androidからiphoneにデータの移行をした。思ったより簡単に移行ができた。そしてAirPodsの音質の良さとノイキャン機能にビビり散らかしていた。

「アラームはどうやって設定すると?」
「AirPodsの充電はどうやって確認すると?」
「LINEの履歴はどこいったと?」

とっととっと・・・母はいちいち聞いてくる。「取り合えず自分で触ってみてくれ」と、イライラを抑え最大限丁寧に教えた。

シニア旅行の企画としおり作成

2泊3日分作成

母は高校時代の友達4人と、鎌倉箱根旅行を計画しているようだが、みんな行きたいところがバラバラでルートがまとまらないようだ。

そして移動手段や移動時間も調べなければと、自宅の古いPCの前で頭を悩ませていた。私は、鎌倉箱根には何度も行ったことある。私がやればすぐに終わるので引き受けることにした。

シニアのみなさんの行きたいところを網羅したプランを作成した。JR、箱根登山鉄道、ロープウエイ、乗り換え時刻を複数パターン記載。旅のしおりのデータをLINEで送ったところ「どうやって作ったと?」と驚いていた。

こっちは社会人13年やってるんだよ、こんなの余裕だよ!なめんなよ!
やっぱり旅はしおりがあると楽しさが増すよね!


ここまで誰かに褒めちぎられたのは久しぶりだ。ああ、私はこうやって自己肯定感高く母に育てられたのか。

そんな可愛くないけど「可愛い可愛い」と言われ続け、絵や工作で賞をもらえば「才能があるわ」と褒めちぎり、母の手のひらで踊らされるままに、ピアノのコンクールに出れば地区大会で優勝した。

マンション暮らしのため、電子ピアノにヘッドフォンで練習を重ね、国内最大級のピアノコンクール、ピティナ・ピアノコンペティションの本選に出れたのは母の功績だと思う。

こんなんで喜んでくれるのであれば

こんなので喜んでくれるのであれば、もっと福岡の流行りの美味しいお店に連れて行きたいし、Apple watchの設定だってするし、調べものも資料作成もやるよ。

バンガロールから福岡は、近くはないし、乗り換えも面倒だから頻繁には帰れないけど、1年に1回は、1ヵ月くらい日本に滞在して一緒に過ごす時間を確保していけたらいいなと思う。

前回帰国時、お酒があまり飲めない母が、ワイン好きの夫を喜ばせようと、おしゃれなワインを買って来ていた。それを飲みながら、母と夫と3人で楽しい時間を過ごすことが出来たってだけなんだけど、そういう時間を大切にしていきたい。

母は今年で仕事も辞めるそうだ。父がいたら一緒に海外旅行とか楽しむんだろうなーと思うけど。体力のあるうちにバンガロールにも招待したいなと思っている。まだまだ元気でいてくれよな!

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集