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『鬼の家』花房観音著 負の連鎖…何て甘いもんじゃなかった怪伝奇

花房観音…その素敵なお名前で気になっていた方のホラーに属するのかな
✳︎花房氏は、今は亡き『OKOWA』の、
 発起人の一人である吉村智樹氏の奥様
 旦那様も素晴らしいライターさんです
(ご存命です!…私の書き方が下手)

お名前からして、きっと、
“エロティシズム描写が上手い”と想像していましたが、この本にもふんだんに盛り込まれています

そして、悍ましいのですよ


またネタバレ少なめの読書感想文です


【表帯】
人は寂しいと鬼になるー
古都の桜屋敷に囚われた一族の、
孤独と不幸の物語

【裏表紙】
桜子の名前にちなんでその屋敷は建てられた。千本通のすぐ近く、桜の古樹が佇む空き地の前に。しかし、かつてこの地には人喰いの鬼がいたという。そんな伝説をなぞるように奇妙な男女が現れて、平穏で退屈な屋敷の日々は狂いだすー
心を蝕む欲望の恐ろしさを捉えた妖美な連作怪奇譚。
〈解説〉黒木あるじ


はい、
上質な淫話にして数奇な連続短編です

明治から現代まで連ねられたお話はとても読みやすいものでしたが、一筋縄ではいかないものでもありました

京都の千本通の豪邸を舞台に、はんなりとした語りが、穏やかに見えて実はこれがまた京都人らしい部分であり、読み進めると往々にして見えてくるので、人の陰の部分がじんわじんわと感じられました

これ、読んだ私が関西人だからの事かも知れません、
“着倒れの京都”の人には、何かしら裏がある、そんな所が昔から言われてますので
そこが分かっていると、益々悍ましさが感じられて面白い本でした

何よりも京都といえば“鬼”が似合います
代が変わる毎に黒く渦巻きその目を光らせる鬼が増えていく、その書き方が素敵で、さくさくっと読めました

私的な余談ですが、
鬼は良い鬼も悪い鬼も居ると思っているのです

しかし花房観音先生的には、
鬼は人であり、とても恐ろしいものであります
情念の乱れは鬼の気を生み、念が強くなればなる程気は形を成し“鬼”というものになるという…わかるわーという感想です

女流作家さんのお話はなかなかマッチし辛い私ですが、今回こんなにすんなり入り込めたのが感動でした

花房観音先生に感謝です


そうさなぁ…大人に読んでいただきたい

でも、
恋を知る人なら大丈夫、読めます、
震えながらね…


ま、いろんな方々、面白いから
読んでみ

追伸
桜の木には気を付けて…

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